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抗がん剤や放射線が効きやすいので、再発・転移してもあきらめずに治療を

まずは、できるだけ強い治療を! 小細胞肺がんとの闘い方最前線

監修●後藤功一 国立がん研究センター東病院呼吸器内科外来医長
取材・文●半沢裕子
発行:2012年11月
更新:2013年8月

  
小細胞肺がんの治療に詳しく、薬物療法の各種試験に携る後藤功一さん
小細胞肺がんの治療に詳しく、薬物療法の各種試験に携る後藤功一さん

悪性度が高いとされる小細胞肺がんだが、抗がん剤や放射線が効きやすく、例えばリンパ節転移があっても、抗がん剤に放射線をプラスして完治を目指せる標準治療もある。治療薬の進歩や臨床研究の蓄積によって、小細胞肺がんの治療はどう変化しているのだろうか。最新の知見を紹介する。

限局型と進展型に大別される

図1 小細胞肺がんの治療方針
病 期 治 療
1a期
1b期
限局型(約30%) 手術→化学療法
2a期
2b期
化学療法+胸部放射線療法
3a期
3b期
4 期(胸水) 化学療法
4 期(遠隔転移)

肺がんは大きく、小細胞肺がんと非小細胞肺がんに分けられ、全体の1315%を占める小細胞肺がんは少数派といえる。特徴としては、速く進行し、全身に転移しやすいこと。つまり、がん増殖のスピードが速い=悪性度の高いがんなので、発見されたときには、すでに遠隔転移(離れた臓器への転移)を起こ
していることが多い。なかでも、脳や中枢神経系への転移が多いことで知られている。

「半面、抗がん剤や放射線がよく効き、病変が胸部に限局しているなら完治の可能性もあります。高齢の患者さんでも、体調の許す限り、積極的に抗がん剤による治療を受けてほしいと思います」

このように、国立がん研究センター東病院呼吸器内科外来医長の後藤功一さんは強調する。

では、小細胞肺がんの治療法はどのように決められ、どう進められるのだろうか。

図2 小細胞肺がんの限局型と進展型
図2 小細胞肺がんの限局型と進展型

小細胞肺がんは肺がんの大多数を占める非小細胞肺がんと同じく、「1期~4期」に分類される。また、その分類とは別に、小細胞肺がんでは、「限局型」と「進展型」の2つの分類が、さらによ
く使われる(図1)。

限局型とは、がんが片側の肺と近くのリンパ節(縦隔のリンパ節、鎖骨上リンパ節も含む)にとどまっているものを指す。進展型とは、がんが肺の外に広がっている、つまり、遠隔転移のある状態を指す(図2)。

進展型なら積極的に抗がん剤の投与を

図3 シスプラチン+イリノテカン療法の効果(JCOG9511)
図3 シスプラチン+イリノテカン療法の効果(JCOG9511)(NEJM 2002;346:85-91)

進展型では、化学療法(抗がん剤治療)が標準治療となっている。薬剤はこれまでシスプラチン(一般名)とエトポシド
(一般名)の2剤併用療法だった。それが、2002年にシスプラチン+エトポシドと、シスプラチン+イリノテカン(一般名)を比べた日本の比較試験
JCO G9511)で、シスプラチン+イリノテカンのほうが効果が高いことが確認されたため、日本ではシスプラチン+イリノテカンが第1選択となっている(図3、図4)。

ただし、海外ではこの試験の追試が引き分けだったため、
今もシスプラチン+エトポシドが標準治療だ。

図4 進展型小細胞肺がんの治療法
図4 進展型小細胞肺がんの治療法


シスプラチン=商品名ブリプラチン/ランダ

エトポシド=商品名ベプシド/ラステット

イリノテカン=商品名カンプト/トポテシン

限局型のうち 1期では術後に化学療法をプラス

治療は通常4コースで、1コースが4週間。各コースの1日目にシスプラチンを投与し、1日目、8日目、15日目にイリノテカンを投与する。これを4回繰り返す。化学療法
は、4コースよりも長期に継続しても効果は上がらず、副作用のみ増えていくとされている。

限局型の化学療法はシスプラチン+エトポシド療法が標準である。限局型でも、リンパ節への転移がない1期の場合、手術
で病巣部をとり、術後に化学療法を行う。

「手術後、体力が落ちているときに化学療法はきついですが、化学療法をプラスすることで6070%の患者さんが完治している。もうひと頑張りしてほしいです」

このように後藤さんはいう。

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