すずらん会
不安を抱える、血液難病の患者さんを、経験者の立場からサポート
代表の横内邦子さん
人に話すことで悩みは半分に、喜びは倍に
すずらん会が活動の拠点としている「富山県立中央病院」では、1992年8月に初の骨髄移植が行われ、その後急速に移植件数が増えていきました。
そんな中、1994年に病院の移植医の薦めもあり、初めて骨髄移植をした患者・患者家族が患者の会を立ち上げました。この会を、元通りの健康な体と生活を取り戻したいとの願いと、すずらんの花言葉、リターンハッピネスから「すずらん会」と名付けました。
会のモットーは「悩みは人に話すことで半分になり、喜びは人に話すことで倍になる」、です。患者・患者家族が定期的に集まり、これから移植を受けようとする方やそのご家族に、移植体験や治療の経過など、移植体験者しかわからないことを情報として伝えていくことで、不安や悩みを軽減し、和らげることができるのではないか、という気持ちでした。
会の運営は、患者・患者家族が主体で、病院には会合の場所の提供と年1回の勉強会に講師の派遣をお願いしています。また、例会(奇数月の第3日曜日開催)には看護師長がアドバイザーとして同席しています。
年6回、奇数月の第3日曜日に行われる例会
会則はとくに決めておりません。どなたでも気軽にご参加できます。会費は、1度会に参加するごとに500円を負担していただいています。
会の進行は、お茶とお菓子を食べながらの井戸端会議のような形式で、誰とでも自由に話せるようになっています。いろいろとやってみて、現在のこの形に落ち着きました。皆さん楽しそうで、パワーあふれる会話が時間を忘れて続きます。また、必要があれば、看護師長にアドバイスを求めることもあります。
会の時間は2時間程度です。
例会は発足当時から1回も休むことなく継続しています。
●活動内容
「すずらん会」は血液難病の患者・患者家族に対する精神的なサポートを目的としています。
患者さんが病名を告知されると、ショックでパニックに陥ってしまうことがよくあります。そのため、医師の言うことが理解できないなどで、治療方針の同意まで時間がかかってしまうことも多くみられます。
一刻を争う初期治療が遅れるようだと命に関わることでもあります。そのような場合に、「すずらん会」では、医療者側からの要請を受け、病院に出かけることもあります。「すずらん会」のメンバーの体験談と元気な姿を見ることによって、落ち着きを取り戻し、安心して治療を受け入れられるようになっていただくことが目的です。骨髄移植(ミニ移植等含む)で元気になった元患者の経験談は、これから移植される方には元気の元であり、何よりの薬であるなどの評価もいただきました。
闘病中の患者さんのさまざまな要望を「すずらん会」が代弁し、病院に伝えることも重要な活動です。すずらん会には県中央病院以外の病院の患者さんも多くいます。そのためにも、病院側とは一線を画し独自性を保つことは重要であると考えています。
●交流会
北陸3県(富山県・石川県・福井県)の患者会の交流会を年1回実施しています。各県の患者、患者家族、医療者が集まり広域での医療の向上を図っていくための情報交換の場と位置付けています。患者の会同士が手をつなぐことで、情報の交換入手にもつながっています。
●勉強会
年に1回、病院の医師による血液難病に関する最新情報についての講演、すずらん会メンバーによる体験談、患者のための相談会を実施しています。勉強会は富山県内の他病院にもポスター、チラシを配布し、参加自由としております。当日は他病院からの参加もあります。
●今後の活動内容
患者にしかわからない患者の気持ちがあります。「すずらん会」の目指す所は前述の精神的なサポートはもちろんですが、患者が納得できる治療を受けられる、施設、医療者、薬剤にめぐり合えることが理想です。
患者の気持ち、発言が優先されるような医療環境が重要と考えています。
医療にお金を払うのは患者です。病院、医療者、製薬会社にとって患者は大切な顧客です。その顧客が医療市場の中に発言者として参加できない仕組みには、大きな違和感を覚えます。
医療者サイドは「患者様」などと呼称を変えて対応していますが、現実にはまだまだ患者の気持ちを逆なでするような言葉や、医療者が奨める治療方針が絶対であるかのような説明のしかたが存在します。
これらを改善するために、大きな意味での医療システムに患者会の参加が認められるよう、会の活動を通して訴えていきたいと思っています。
すずらん会
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