工夫をこらして、より快適な生活を

自分に合った尿路ストーマ装具で日々の暮らしをより豊かに

監修●松浦信子 がん研有明病院WOC支援室師長
取材・文●『がんサポート』編集部
発行:2014年1月
更新:2014年4月

  

「尿路ストーマは慣れと工夫が大切です」と話す松浦信子さん

膀胱摘出手術を受けた患者さんは、膀胱の機能を補うためにストーマ(人工膀胱)になります。ここでは、より豊かな生活を送るための尿路ストーマの装具の選び方とセルフケアを紹介します。

主流は回腸導管

膀胱がんで膀胱や尿管を切除すると、尿を貯留することができなくなり、お腹から尿を持続的に排泄するストーマ(人工膀胱)を造設することが必要になります。

ストーマを造るにあたり大切なことは、自分のストーマの種類を知ることです。人工膀胱には図1のようにいくつかの種類があります。最近では1つの出口ですむ、回腸導管による尿路ストーマが一般的です。ここでは回腸導管によるストーマのケアについて紹介していきます。

図1 尿路ストーマの種類

自分に合った装具を選ぶ

ストーマ装具には多くの種類があります。靴を選ぶときのように用途やサイズを合わせ、自分のライフスタイルに合った物を選ぶことが大切です。

写真2 代表的な尿路ストーマの構成

左が単品系装具。右がニ品系装具

ストーマ装具は、面板とストーマ袋の2つの部分でできています(写真2)。2つを合わせる部分をフランジ(接合部)と呼び、どちらも防水・防臭効果が備わっています。面板は、身体に直接貼りつけストーマ袋を付ける土台となる部分です。

面板は皮膚を保護する成分で出来ており、次の4つの作用で皮膚を排泄物の刺激から守ります。

①皮膚に尿がつかないように密着する。②汗や排泄物の水分を吸収する。③排泄物の刺激を和らげる。④皮膚についた細菌を増やさない。

ストーマ袋は、排泄物を収集する袋で膀胱の役割を担います。袋の容量は約300mlほどで、色は透明と肌色の2種類あります。慣れないうちは容量が確認できる透明な袋を使いますが、慣れてくると袋の膨らみや重さで、尿の処理のタイミングが分かってくるので、目立たない肌色の袋に切り替えると良いかと思います。

専門家のアドバイスを受ける

実際に販売されているストーマ装具は、写真2のように面板と袋が一体になっている単品系装具(ワンピース)と二品系装具(ツーピース)に分かれます。それぞれに利点と欠点がありますが、ストーマの根元の皮膚が平らでストーマに合わせて貼りやすい方は単品系装具を使い、軽いへこみやしわがある場合は二品系装具を使用すると良いでしょう。

面板にも数多くの種類があります。とくに注意が必要なのが面板の形状と固さです。形状には面板が平らになっている平面型と、中心が凸状に出っ張っている凸型があります。凸型の適用はストーマの
根元の皮膚に深いしわやくぼみが入っている場合や、高さがないストーマ(もしくは、平らな出口のストーマ)の場合に使います。

面板の固さは様々ですが、一般的には単品系装具や平面型の形状は柔らかく、二品系装具や凸型は固いです。ストーマの出口の高さとストーマの根元の肌のしわやくぼみの状態によって使い分けることが大切です。

その他、面板の粘着力や孔の開け方、面板の構造の違いなどもあります。なかなか個人で選定することは難しいので、ストーマ外来で専門の看護師によるアドバイスを受けると良いでしょう。

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