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子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がんの手術とセルフケア

切除する部位と影響を理解し 術後の治療・生活に備えよう

監修●青木大輔 慶應義塾大学医学部産婦人科学教授 
取材・文●柄川昭彦
発行:2014年4月
更新:2014年7月

  

婦人科がんの治療に長年実績を積んできた青木大輔さん

様々ながんの治療と同様、子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がんの治療では、手術が行われる場合が多い。それぞれ治療のどの段階・病期(ステージ)によって、手術の内容はどう違うのか?手術による体の変化は?術後をイメージしながら、療養に備えるための基礎知識を紹介します。

Q1 手術はどのような場合に行われる?

子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がんの治療では、「手術」の他に、「放射線療法」「化学療法」「化学放射線療法」「ホルモン療法」などが行われることがあります。手術は、がんを取り除くだけでなく、悪性かどうかや病期(ステージ)の確定診断に役立つ場合もあります。

卵巣がんと子宮体がんは、手術が第1選択の治療となっています。

子宮頸がんの場合、手術が行われるのはⅡ期までで、手術以外に放射線療法や化学放射線療法が選択されることもあります。

確定診断と手術

子宮頸がんと子宮体がんは、組織を採取しやすいため、組織を調べる病理検査によって、がんであるという確定診断がついてから手術が行われます。

これに対し、卵巣がんの場合には、組織を採って検査をすることが困難なため、確定診断がついていない段階で手術が行われます。手術中に、迅速病理診断が行われ、がんであるかどうかが明らかになるのです。

進行期の診断と手術

子宮頸がんでは、治療の前に病期を決め、それに従って治療法が選択されます。

子宮体がんと卵巣がんでは、手術した後に病期が決まります。手術することで、浸潤や転移の状態が明らかになり、初めて正確に診断することができるのです。

Q2 代表的な手術の種類は?

子宮頸部円錐切除術
……子宮頸部を円錐状に切除する手術です。微小浸潤がんがどこまで進達しているかを調べる診断的意義もあります。

単純子宮全摘出術
……子宮だけを摘出する手術です。腟から手術する方法と、腹部を切開する方法がありますが、がんの治療では腹部を切開します。

準広汎子宮全摘出術
……単純子宮全摘出術と広汎子宮全摘出術の中間的な手術です。骨盤リンパ節郭清は含みません。

広汎子宮全摘出術
……子宮に加え、骨盤内のリンパ節を郭清し、骨盤と子宮をつなぐ基靭帯も切除します。

両側付属器摘出術
……左右の卵巣と卵管を切除する手術です。

傍大動脈リンパ節郭清
……大動脈のそばに位置する傍大動脈リンパ節を郭清する手術です。

骨盤リンパ節郭清
……骨盤内のリンパ節を郭清する手術です。

大網切除術
……腹腔内にあって、がんが転移しやすい大網を切除する手術です。

Q3 病期の診断は?

子宮頸がん

子宮頸がん検診によって、前がん病変や非常に早期のがんが発見されるため、早期のがんの進行度が細かく分類されています。Ⅰa1 期は、円錐切除術を行い、浸潤の程度を調べて診断します。

Ⅰ期……子宮頸部に限局。

Ⅱ期……子宮頸部を超えて広がっているが、骨盤壁または腟壁の下方1/3 には達していない。

Ⅲ期……浸潤が骨盤壁や腟壁の下方1/3 に達している。

Ⅳ期……膀胱や直腸の粘膜に浸潤しているか、小骨盤腔を超えて広がっている。

子宮体がん

子宮体がんの進行期は、手術が行われ、浸潤や転移の状態が明らかになることで診断されます。

Ⅰ期……子宮体部に限局。

Ⅱ期……子宮頸部に浸潤するが、子宮の外部には広がっていない。

Ⅲ期……子宮の外部に広がっているが、小骨盤に限局されている。

Ⅳ期……膀胱や腸の粘膜に浸潤しているか、遠隔転移がある。

卵巣がん

卵巣がんも、手術が行われ、浸潤や転移の状態が明らかになることで、進行期が診断されます。

Ⅰ期……卵巣内に限局。

Ⅱ期……骨盤内の臓器に浸潤。

Ⅲ期……骨盤外の腹膜、後腹膜、鼠径部リンパ節などに転移している。

Ⅳ期……腹腔を超えて広がっている。

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