森川那智子のゆるるんヨガdeほっ! ゆるゆるセルフケア 117

「苦手」なこととどうつき合う? <片脚前屈のポーズ>

森川那智子 こころとからだクリニカセンター所長
(2017年9月)

もりかわ なちこ こころとからだクリニカセンター所長。カウンセラー・ヨガ指導家。心療内科と提携し、カウンセリングを中心に、ヨガ、リラクセーション、瞑想を取り入れた療法で、心と体のサポートに取り組む。『なんにもしたくない!』(すばる舎)『リラックスヨガ』(成美堂出版)など著書多数。近著に『心がラクがずっと続くヒント』(青春出版社)

今月紹介する前屈のポーズ。写真を一瞥しただけで、「私、体が固いからダメ!」と思った人がいるはずです。

学校体育や部活での柔軟体操のせいで、「私は体が固い!」という固定観念を植え付けられた人が少なくありません。赤ちゃんのときは、みんな自分の足の指をしゃぶったりしてたのにね。

柔軟性が増してくるとケガや故障が少なくなりますから、運動系の部活ではストレッチは必修です。そのため数人がかりで背中を押したり、膝が浮かないように抑えたり。やっている当人は、エイッ、エイッと浅い呼吸か、時には息を止めて頑張ります。

小学生などは息を止めて思い切り前屈し、いきなりギャッとか叫んでバネが弾けるように中断する子がいます。そして本人も周りも大笑い……。こうしたやり方は、集団の親和性を高めるには有効かもしれませんが、痛いし、苦手だし、なんとかして逃れたいと拒否反応を起こす人も少なくありません。

しかし、柔軟体操の前屈と、ヨガで行う前屈のポーズとは、まったく別物です。

「ヨガの前屈ポーズ」は勢いをつけてしない

一番大きな違いは、勢いをつけてやらないということです。注意を自分の体の内側の感覚に向けて、「穏やかに呼吸できる範囲のところでキープ」、なんです。そういうのはじれったいと思うかもしれません。

このコーナーで何度か取り上げているヤマダリエさん。自身ががんサバイバーであり、〝がんサバイバーためのヨガ〟を提唱し、普及活動をしています。

「振り返ってみると、がんになって、手術して、そのあと1年ぐらい、ハイな状態が続いていました。アドレナリン出まくり、だったと思います」

自分ががんサバイバーだというと、周りは「えっ? 全然そう見えない」と驚かれるのが常でした。

「1年が過ぎて、ふっと我に返るというのか、これが、これからもずっと続くあたりまえの自分の日常なのだ」と気づいたというのです。それまでも、がんと闘っているという意識はなかったけれど、闘っていたのかもしれない。がんと共に生きるということはこういうことなんだと、ふと実感したそうです。

それは、割り切れない、すっきりしない、白黒つけられないことを限りなく抱えていた、あたりまえな日々の営みのことを言っているのだろうと私は思いました。

それは、この前屈のポーズ1つをとってもそうなのです。

無理をしないと一口に言っても、どこまでなら無理ではないのか、どこからが無理なのかスパッと割り切れない。割り切れないまま、じれったいけれど、やれる範囲でやることをやっていきます。

写真のモデルは、前屈が苦手な人の姿勢を再現しながら行っています。

スタートで床に座って、両脚をそろえて前に伸ばそうとしただけで、骨盤が後ろに傾き、それとバランスをとるためには背中を極端に丸めたり、背中を伸ばそうとすると、上体が後ろに倒れそうになります。つまり最初から「ちゃんとやろう」とすると、いたるところに力が入ってしまうのです。

だから腰の後ろに手をついて、背中がある程度丸まっていてもいい、膝を少し浮かせて、両脚をある程度開いて前に伸ばし、鼠蹊部(そけいぶ)を意識し、鼠蹊部をほぐすイメージを描きながら、ほぐし運動をします。

前屈のポーズも、鼠蹊部や太腿の負担を減らすために片脚ずつ行います。

柔軟性の高い人は、膝を浮かせたりする必要はなく、すっと伸ばしたまま行えますが、脚の裏側の筋肉群(アキレス腱、ふくらはぎ、膝裏、腿の後ろ、お尻、腰、背中まで)を丁寧に伸ばすことに取り組むことになります。

<片脚前屈のポーズ>

<準備>片脚前屈のポーズ

<準備>両脚を腰幅よりやや広めに開き、足首を柔らかく内外へと動かし、

<準備>片脚前屈のポーズ

<準備>腿がブルンブルンと動くのを感じてみよう。膝や鼠径が緩まってくる

片脚前屈のポーズ1

①両脚を前に伸ばして座り、骨盤を立てて、背中を伸ばす。体が硬い人にとっては、腰や背中を立てるのがつらい。膝を少し床から浮かせてみよう

片脚前屈のポーズ2

②へそを正面に向けたまま、右膝を立て、かかとを手前に引き付け、右側に倒す

片脚前屈のポーズ3

③左足の足先に左手をかけ、右手は、床につける。手がとても足先に届かないと感じたら、膝をさらに浮かせるといい

片脚前屈のポーズ4

④息を吐きながらゆっくり前に上体を倒していく。これ以上は無理というところまでにする。力づくでがんばらないこと。穏やかな呼吸が可能なところまで前傾し、そのまま4~8呼吸保つ。吸う息で腰、背中を頭頂の方向に伸ばし、吐く息で上体の前傾を深めるイメージで(イメージするだけでいい)

片脚前屈のポーズ5

⑤ゆっくり戻してきて、両手を床について呼吸を整える。もう一度<準備>を行い、左右を反対にして同様に行う。2セット

 

■「がんサバイバーのためのヨガ集中講座」のお知らせ■
この秋、講師にヤマダリエ氏を迎えて、がんサバイバーが安心安全に行えるヨガ理論と、実践的な指導法について学ぶ講座を開催。がんサバイバー本人、家族、ヨガインストラクターにとって、すぐ役立つ内容で構成されています。<10月7日(土)10月21日(土)11月11日(土)11月25日。いずれも17時~20時まで(計12時間の集中講座)> こころとからだクリニカセンター

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