今回ご紹介するレシピは、6月頃から食欲が減退しますので、季節感に加えて爽やかな刺激で食欲が出るものです。
梅雨から夏への変わり目となる6月は、暑い日があったり、梅雨寒もあったりと体調を崩しやすく、また、湿気の多さから食欲が減退し始める季節となります。
この時期の風物詩で食欲を増進させるニラなどの野菜や、梅などの爽やかな刺激で、食欲不振を改善し免疫力を高めましょう。

アスパラと砂肝の胡椒焼

材料（2人分）
・アスパラ……4本（100g）
・砂肝……100g
・油……大さじ2
・ミニトマト……2個
・酒……大さじ1
・薄口醤油……小さじ1
・胡椒……少々

A
・大根おろし……適量
・きゅうりおろし……適量
・しょうがおろし……適量

作り方
①　砂肝の筋をとり、半分に切り、ボールで薄い塩水で洗う。
②　アスパラは根元の固い部分を剥きとる。
③　フライパンを熱し、油をひき、アスパラと砂肝を入れて炒め、砂肝に八分どおり火が入ったら酒を入れ、薄口醤油と胡椒で調える。
④　 器に盛り付けて手前にAのおろしとミニトマトをのせる。

ポイント
香りも良く食欲が進む一品です。砂肝は火を入れすぎないようにいたしましょう。

しらす飯の梅醤油掛け

材料（2人分）
・米……2合
・水……350cc
・しらす……50g
・梅肉……大さじ1
・醤油……大さじ1
・だし……大さじ1
・大葉……3枚

作り方
①　米は研いで15分浸水後ザルに15分とり、水気を切っておく。米は2割吸水するので目盛りを少なめにし、高速炊きで炊く。
②　梅干は種をとり、包丁でたたき、醤油とだしを合わせて刻んだ大葉を加え、梅肉醤油を作る。
③　炊き上がったらご飯としらすを器に盛り、②の梅肉醤油をかける。

ポイント
梅肉醤油はゆでた野菜などにかけても美味しくいただけます。

玉葱のかきたま汁

材料（2人分）
・玉葱……1/4個
・ニラ……1/4束
・たまご……2個
A
・だし汁……300cc
・薄口醤油……大さじ1
・酒……小さじ1

作り方
①　玉葱は半分に切り、横5ミリ位の厚さに切る。ニラは3~4センチに切っておく。
②　鍋に玉葱とAを入れて温め、ニラを入れて沸騰したら、溶いたたまごを流し入れ、火が半分通ったらとめる。

ポイント
たまごはふわっと仕上げると美味しくいただけます。

長い歴史のある日本の食文化は、人々が生き抜くための積み重ねの表れです。
季節の料理は、そうした先人達の知恵によってつくられています。
この時期ならではの食材を、今日は組み入れてみました。
しらすに含まれるカルシウムは成魚の3倍ほどになり、アミノ酸チロシンは糖質と一緒にとることで脳の活性化につながるといわれています。
梅干を食べるときに出る唾液にはカタラーゼという酵素が含まれており、活性酸素を取り除いてくれます。
カルシウムはそのままでは体内に吸収されにくいのですが、梅干に豊富に含まれるクエン酸と結びつくことで吸収されやすくなります。
汁の玉葱とニラには硫化アリルが含まれており、血液をサラサラにして血栓が出来るのを防いでくれます。
卵黄にはレシチンが含まれ、脳や神経細胞を活性化させ、細胞の1つひとつを水々しく保つ働きがあります。
今回の主菜の砂肝に含まれるビタミンAは目や粘膜を健康に保ち、豊富に含まれるパンテトン酸は免疫力アップの強い味方です。
アスパラにはβカロチンがたっぷり含まれており、同じく免疫力強化に役立ちます。
そして香り付けの胡椒は嚥下緩和になるとも言われています。
目にもあざやかでこの時期ならではのお料理をいただき、本格的な暑さを迎える夏に備えて免疫力を高めていきましょう。

野崎洋光 のざき　ひろみつ
1953年福島県生まれ。「東京グランドホテル」「八芳園」を経て、ふぐの名店「とく山」の料理長を務め、1989年に支店「分とく山」を開店。伝統的な和食の技法をふまえつつ、シンプルで美味しいもの、体にいいものを主眼に独自の料理を展開。アテネ五輪日本代表野球チームの料理を担当、話題を呼ぶ

牛込紀子 うしごめ　のりこ
東京都出身。栄養士。食品メーカーでメニュー提案などを担当、現在に至る。「食べものが身体をつくる」を基本に素材の持ち味を生かした、身体にやさしくておいしいメニューづくりに奮闘中。「野菜をこよなく愛する」ことと「食べものへの好奇心を失わないこと」が信条。子どものころから根っからの野菜好き

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