遺族年金について知っておきましょう
その1 知っていれば経済的に大きな安心

文:山田由里子(社会保険労務士)
発行:2004年5月
更新:2013年4月

  

はじめに

私が社会保険労務士になろうと思ったのは平成7年です。この頃は私にとって非常につらい時期でした。その前の年の平成6年6月に夫が原因不明の微熱から悪性リンパ腫と診断され、闘病生活が始まったのです。当時、夫は33歳、それに4歳の長女と2歳の次女、私の4人家族でした。最初から予後についてかなり厳しい話を聞かされたため、私のほうが泣いてばかりいました。夫もショックだったはずですが、自分は絶対に死なないから、といつも私の慰め役をしてくれていました。

休職をして治療を始め、しばらくするとだんだん私たちの立場が逆転してきました。最初のうちは私が慰めてもらう役でしたが、いつの間にか泣いてしまう夫を私が「大丈夫、大丈夫」と元気づけるほうになったのです。もう、私が弱音を吐くことはできなくなりました。

お金の話はとても大事

病気のことがもちろん最大の気がかりでしたが、実はもうひとつ、あまり口にはださなかったけれど結構気にかかることがありました。お金のことです。

最近、生命保険会社のコマーシャルで「よ~く考えよ~、お金は大事だよ~」というのがありますね。ご覧になった方も多いと思いますが、私はあのコマーシャルを見るたびに「そうそう」とうなずいてしまいます。

入院中に読んでいた新聞で「がん遺児の就学率」という記事を目にしたことがありました。それは、父ががんで亡くなった家庭では、経済的な理由から高校進学を断念するとか中退してしまうケースが少なくないということが書いてありました。がんの治療は長期化することが多く、一家の大黒柱の収入がなくなるうえに治療費がかさむことが原因です。

今後どうなっていくのか、本当に気にかかることは多かったのですが、当時の私には調べるすべがありませんでした。結局、夫は平成6年11月に亡くなりました。

遺族年金を知ってください

現在、私は遺族年金を受給しています。本当にありがたいお金です。でも、実はこの遺族年金、遺族が誰でももらえる年金というわけではないのです。どこかで線を引かなくてはならないのですからやむをえない面もありますが、本当にちょっとした差で、あのときこうしていたら、知っていたら、ということがいくつもあるのです。

遺族年金というと、亡くなることを前提としたものなので状況によっては話しづらいのですが、私は是非多くの人に知っておいてもらいたいと思っています。お金の話、とても大事なことだと思います。

2004年は、5年に一度の年金見直しの時期にあたります。そのせいで新聞やTVに毎日のように「年金」という言葉が登場しています。でもそのほとんどが老齢年金の話。あまり目立たないようですが、年金には「老齢」以外にも「障害」「遺族」についての給付があり、それぞれにとても重要な役割を果たしています。

今回は遺族年金について、少しの違いでとっても違う、遺族年金の明と暗について事例検証の形で進めていきたいと思います。

事例-1 解雇後に国民年金の免除申請をした場合

昭和35年生まれのA夫さんが死亡。残された遺族は、妻(44歳)、長女(14歳)、長男(12歳)。

A夫さんは、全身倦怠感が続いていたところに発熱も加わったため、自宅近くの病院を受診し専門病院を紹介された。検査の結果、白血病と診断された。病院の説明を聞くと、A夫さんの場合の治療には最低でも6カ月程度はかかり、長期戦覚悟で望まなければならない様子だ。A夫さんの勤務先は従業員8名の金型製造の会社だったが、最近の不況のあおりをまともに受け、会社存続の危機に直面していた。このような状況の中でA夫さんの休職が認められるわけもなく、結局A夫さんは解雇されてしまった。

A夫さんは退職後、市役所で国民健康保険の手続きを行った。手続きが終わると「国民年金課にも行ってください」と言われ、そちらの窓口に行った。

そこでの説明は、1カ月の保険料が、本人1万3300円、妻の分1万3300円、合計で毎月2万6600円もの大金を納付する必要があるというものだった。

A夫さんは驚き、失業状態で病気もかかえていてとてもそんな金額を払える余裕がないと話したところ、「では免除申請をしましょう」と言われ、その手続きを行った。

[A夫さんの年金加入履歴]
A夫さんの年金加入履歴


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