NPO法人ミルフィーユ小児がんフロンティアーズ(小児がん/千葉)
小児がんの子たちの歩む道が明るい日差しに照らされるように

NPO法人ミルフィーユ小児がんフロンティアーズ代表 井上富美子
(2012年2月)

井上富美子さん
ミルフィーユ小児がん
フロンティアーズ代表の
井上富美子さん

小児がんへの理解を進める啓発活動に注力

ミルフィーユ小児がんフロンティアーズは、1997年10月に設立された「菜の花会」が、2011年3月に名称も変わり、新たにNPO法人となった小児がん患児・家族の会です。千葉県内を活動地域としていることからミルフィーユ(千枚の葉っぱ→千葉)を頭に付けました。

現在、会員数は約150名で、会員の大半が患児の親ですが、最近では会員名が親から小児がん経験者本人へと変更されることが度々あります。その理由は、この30年間で小児がんの治療技術が進歩して、治癒率も70~80パーセントに向上し、とくに急性リンパ性白血病は90パーセント治癒するとまでいわれるようになったからだと思います。今では多くの子どもたちが成人し、社会に巣立っていくようになり、治療終了後の小児がん経験者の数は全国で10万人を超えると推定されています。

入院中の子どもも参加して、みんなで作ったクリスマスケーキ

入院中の子どもも参加して、みんなで作った
クリスマスケーキ

発足のきっかけは、千葉県下で小児がん治療を行っている専門医からの呼びかけでした。約14年前は、子どもに小児がんであるということを知らせる親がほとんどいないのが実情でした。そのため、子どもたちの知る権利、そして知らないがゆえに起こりうる問題を懸念し、告知の必要性を強く感じていた医師・看護師による告知に関するシンポジウムが開かれたのです。そのときに患者会を立ち上げないかと医療者の皆さんから提案があり、発足に至りました。

そのシンポジウムには千葉県にある、ほとんどの小児がん医療施設から医療者、そして患者・家族が参加していました。そのため、当会は千葉大学医学部付属病院、千葉県こども病院、千葉県がんセンター、成田赤十字病院、帝京大学ちば総合医療センター、松戸市立病院などの医療施設と連携し、多くの医師や看護師の協力を得て活動を行っています。私たちよりも先に医療側から差し伸べられた手が私たちを勇気づけ、ともに歩き始めたのが当会の特色でしょう。

月1回のワンちゃんのお見舞い。子どもたちも大喜び

月1回のワンちゃんのお見舞い。子どもたちも大喜び

会員や医療者が一緒になって楽しむ夏のハゼ釣り大会

会員や医療者が一緒になって楽しむ夏のハゼ釣り大会

設立当時は、小児がんの子どもを持つ親同士の交流を通し、お互いの不安やつらさを共有し、励ましあうこと、そして小児がんに関する知識・情報を提供するための勉強会の開催や会報誌の発行が主たる活動でした。やがて、関連施設の1つである千葉県こども病院の血液腫瘍科病棟内での新しい活動も始まりました。それは病院の外では日常的であっても、病院では非日常的な行事、たとえば、オーブンを持ち込んでクッキーやケーキ、チキンの丸焼きなどを皆で楽しく作って食べたりすることを、入院生活の中で実現することです。

現在ではほとんど毎週のように、このような楽しいイベントを看護師や保育士の皆さんと協力して行っています。月1回、アニマルセラピーとしてワンちゃんたちの病棟訪問、管理栄養士のお力を借り、退院後の生活に役立つよう食事についての勉強会もあります。また、無事治療を終了し社会人となった小児がん経験者の病棟訪問も行っています。自分たちと同じようにつらい治療を受け、それを乗り越えた先輩と一緒に遊び、話をすることは、本人だけでなく、家族へのエールとなっています。

退院後の子どもたちや家族への支援としては、電話やメールでの相談、治療の長期的な悪影響の予防や軽減について学ぶ勉強会を行っていて、小児がん経験者の体験談を聞く機会ともなります。そして毎年1回、ハゼ釣り大会を開き、医師や看護師の皆さん、小児がん経験者とともに夏の終わりの1日を楽しく過ごします。これは退院した子どもやその家族の交流の場となり、不安や苦労、そして喜びを語り合っています。

もう1つの活動に社会啓発があります。小児がんは治る時代になりましたが、まだ死と直結するイメージが強く、小児がんに対する理解がないために、就職や進学、そして結婚などの際、子どもたちに思いもかけない苦労が待っていることがあります。このことから、小児がんに対する理解を進めることを目的とした一般公開シンポジウムなどを開いています。2012年2月18日には小児がんの子どもたちのキャンプ「スマートムンストンキャンプ」の記録映画『風のかたち』を上映する予定です。闘病中でもこのように頑張ることができる、そして治療を乗り越えた先輩がこんなに元気になり、後輩たちを励ましているということを、広く皆さんに知ってもらいたいと願っています。

私たちの活動は、小児がんの子どもたちがつらい治療を乗り越え、体だけでなく心も元気に戻っていけるよう、そして彼らの歩む道ができる限り明るい日差しに照らされたものになるよう続けられています。


NPO法人ミルフィーユ小児がんフロンティアーズ

NPO法人ミルフィーユ小児がんフロンティアーズ
〒261-0011 千葉市美浜区真砂2-15-2-124
TEL&FAX: 043-278-9036
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