ねむの会
「気負わず、末長く」をモットーに 千葉県の乳がん患者会

文:金井弘子(ねむの会 代表)
発行:2006年11月
更新:2013年7月

  
金井弘子さん
ねむの会代表の金井弘子さん

患者会を必要としなくなるまで患者さんと伴走できる会でありたい

遠くまで出かけなくても、千葉で同じ乳がんの患者が集まって情報を得ながらおしゃべりをしたり、勉強会を兼ねた小さい講演会を開催したりできる会があったらいいなと、2000年に乳がんの患者会を立ち上げました。

最初はお手伝いをしてくださる方も少なくて難儀をしましたが、だんだん趣旨に賛同してくださる方が増えて、今では用事が無くてもお茶したり、温泉に日帰りで行ったりするなど、気が合うスタッフ達と一緒に安定した活動ができるようになりました。

・会費、会員と言う形は取らずに、情報を得たいと思ったときだけ、講演会や懇親会などに参加してもらい、その都度参加費としてお金をいただく。1度講演会に来ていただいた方には、次回の講演会のご案内を郵送する。

・スタッフ同士の会合や責任は最小限度にする。

・会報などは出さない。

など省エネの会です。そして主な活動として、年3回の講演会(3月、7月、11月)、年3回の「ティータイム」と名づけた患者同士の交流会を企画実行しています。

2001年からはじめた講演会は今年7月で16回を数え、今1番ホットで、患者さんが知りたいと思うことに的を絞り講演していただいています。

1番最近の講演では、今年7月に「緩和医療の現場から」の演題で、千葉がんセンターの緩和医療科の看護師長、山岸聡子さんをお招きして講演していただきました。千葉県に住みながら、緩和医療の病棟があるのも知らないと言う患者さんや、どんなふうに診療体制が組まれていてどうやって利用するのかも知らないという人が多く、それは病院のためにも地域に住む患者にもマイナスなのではないかと思い、このような内容の講演を企画しました。

講演の当日は、乳がんの患者さんだけでなく、男性のがん患者の方が、もう抗がん剤はやめたい(進行がんのため抗がん剤治療を受けている)が、どんな診療の選択方法があるかを聞きにいらっしゃいました。また、病状が進んできてどう対処していいかと考えあぐねている患者家族の方の参加もあり、講演の後の質問コーナーでは活発な意見交換を行うことができました。こんなときが「講演を企画して良かった。確かに患者さんの為に役立っている」と実感できる瞬間でもあり、またスタッフが次への活動の力を得ることができるときでもあるのです。

はじめは講演会だけの開催でしたが、その中から「患者同士の交流の会を!」と言う声に応えて、交流会を企画しました。「交流会」はインターネットなどで情報を集められない人のために情報を発信する場でもあります。患者同士で情報を交換する場合に気をつけていることがいくつかあります。

・医学的なことに対する回答はしない

・医学的根拠の無い免疫療法や、がんに効くといわれている補助食品などを薦めない

・自分のことはさて置いてスタッフは聞き上手に徹すること

・カツラを購入するときのコツや抗がん剤を受けるときなどの工夫、やってみて効果のあったことなどについては積極的に意見交換する

・どんな症状の方が参加するかわからないのでお互い言葉に気をつけるなどです。

「乳がん」と告げられてから、手術前や退院直後などに、「乳がん」と言う言葉に圧倒されそうになり、乳がんの患者会を求めてくる患者さんが、やがて3年、4年と経て自分を取り戻し、患者会を必要としなくなる。それまでの間を患者さんと伴走できる患者会でありたいと思っています。患者が姿を現さなくなったということは、会を必要としなくなるほど充実した生活をし始めたと言うことであり、とても喜ばしいことと考えています。

もう会を必要としなくなるほど元気だけれど、交流会に参加する患者さんのためにお茶菓子を持参してくださる方もいてこれもまたうれしい限りです。

乳がん患者会としてある程度形も整ってきたし、周囲にも活躍の場が知られるようになってきたので、患者を支えるというだけでなく、乳がんの早期発見や検診の受診率を高めるための活動や啓発、啓蒙運動にも活動の場を広げて行きたいと考えています。さしあたっての活動としては、来春には高校に「早期発見と検診」の出前講演を予定しています。「気負わず末長く活動すること」がスタッフの合言葉です。

ねむの会

TEL 076-467-3254
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