社団法人日本オストミー協会
世界各国のオストメイトとの交流と途上国への支援を

文:稲垣豪三
(2005年11月)

稲垣豪三
会長の稲垣豪三さん

日本オストミー協会の「助け愛活動」

日本オストミー協会は、オストメイトの1日でも早い社会復帰を目指し、社会適応訓練講習会、体験発表会、1泊旅行研修会、会報の発行など活発な活動を続けていますが、ここでは当協会の国際貢献活動について紹介いたします。

オストメイトと補装具

オストメイトとは人工肛門、人工膀胱を腹部に造設した者をいいます。人工肛門の場合は、切除して残った結腸あるいは回腸の先端を排泄口として腹部に固定するので括約筋がない状態となり、不随意に便が排泄され自分自身でコントロールすることができません。

人工膀胱の場合は、多くは一部切除した回腸を導管として尿管につなぎ、回腸導管の先端を排泄口として腹部に固定するので人工肛門と同様に括約筋がない状態のため、間断なく尿が排泄されます。

ストーマの位置が腹部にあり、排泄をコントロールできないために、排泄物を受けとめるストーマ用装具が必要になり、オストメイトは常時これを装着する必要があります。

補装具を発展途上国へ

当協会は国際オストミー協会(IOA)に加盟しています。IOAの本部はカナダのトロントにあり、世界中から75カ国が加盟し、国境を越えてオストメイトの交流が行われています。

IOAの活動の1つにSHARE運動(お互いに分ち合う運動)があり、加盟団体に参加を呼びかけています。

当協会はIOAに呼応して、会員の自発的な協力を得て、1989年から「助け愛活動」と称し、会員が使い残したストーマ用装具やメーカーの不要になったサンプルの寄贈を受けています。これらを一定量溜め、品質チェックをした後、IOAの要請により中国の上海オストミー協会への送付を続けています。

多くの課題

ストーマ用装具は、粘着性のある皮膚保護剤付の面板に排泄物を受けるパウチ(袋)を固定する仕組みになっています。

皮膚保護剤付の面板は時間の経過に伴い徐々に粘着力が劣化するので、高温多湿な保管場所を避けるなど寄贈後の保管に神経を使います。また、面板とパウチの組み合わせが重要で、サイズが合わなければ使用できません(面板とパウチが一体となったワンピース型もあります)。

寄贈を受けたストーマ用装具の保管も課題の1つです。専門業者のトランクルームに保管すればよいのですが費用がかさむため、現在は保管を申し出てくれた会員の自宅に預けています。

年に1~2度、会員有志が集まり、国内各地から届けられたストーマ用装具を開梱し、皮膚保護剤の状況のチェック、破損の有無、サイズ合わせなどを行い、送付のため再梱包します。

モンゴルオストミー協会にも発送

IOAの要請により、今までは上海オストミー協会だけに送っていましたが、今年からモンゴルオストミー協会にも送ることになり、本年9月に最初の発送が行われました。モンゴルではIOAの協力もあって今年初め、モンゴルオストミー協会が発足し、送付したストーマ用装具の受け入れ、配布体制ができました。

アジアには補装具が自由に手に入らず、手術を受けて命は助かったが悲惨な生活を余儀なくされているオストメイトが多くいます。2003年9月に来日したアジアオストミー協会(IOAのアジア地区組織)会長カルドーサ氏は講演で「アジアの多くの国では補装具をプラスチックの糸巻きなどを利用して自製し使うのが通常で、漏れ、臭いの問題を常に抱えており、手術するくらいなら死んだほうがいいと思っているオストメイトが多い。安価で安全な補装具をメーカーで開発して欲しい」と訴えました。

同じようにIOAの情報誌によれば「発展途上国のオストメイトは、貧困な生活に加えて適切な補装具がないのでお菓子が入っていたビニール袋、ゴム手袋、タイヤのチューブ、ココナッツの殻を半分に割って古布を詰めたものなどを紐やゴムバンドでお腹に固定して凌いでいる。これでは臭いを防ぐことはできないので家族に嫌がられ、家から追い出されて路上で生活している人もいる」とのことです。

本オストミー協会の「助け愛活動」は小さな活動ではありますが、会員が協力し合いながらこれからも力を合わせアジアのオストメイトのための運動を続けていこうと思います。

社団法人日本オストミー協会

会長・稲垣豪三
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