イデアフォー
医療の閉鎖性に患者の側から風穴を開けよう!
医療情報を整理し、患者にとって真に必要な医療を求めよう!
複数の世話人による合議制で運営する乳がん患者の会
「乳房温存療法」を知っていますか?
「乳がん」イコール「乳房切除」ではないのは、今や常識ですよね。乳房を切除しても、しこりだけをくりぬいても、生存率に変わりがないことは多くの臨床試験でとっくに証明されています。
日本ではようやく2002年に、乳房温存療法が乳がん治療の40パーセントを越えましたが、イデアフォーが発足した1989年当時はわずか5パーセントでした。そのころすでに欧米では「標準治療」となっていたにも関わらず、です。
そんな医療の閉鎖性、医療情報の乏しさに気づいた患者たちが中心となって、イデアフォーは活動を始めました。
1.インフォームド・コンセントの推進
2.医療情報の収集と提供
3.乳房温存療法に関する情報の収集と提供
の三つを活動目的としています。代表はおかず、複数の世話人による合議制で運営しています。現在、会員は全国に約500人です。
年4回の『イデアフォー通信』発行、年1回以上の講演会・セミナー(乳がん治療・抗がん剤・放射線・病理診断・再発転移・痛みのケア・ホスピス・EBM・遺伝子診断等)、乳がん治療に関する病院&患者アンケートの実施と冊子発行、毎月1回のおしゃべりサロン、年4回の再発おしゃべりサロン、無料電話相談等が主な活動です。
電話相談は、会の発足が新聞に載ったその日から、思いがけなく始まりました。
それから15年、年間900件近い相談内容から、患者が変わってきていることを実感します。
かつては乳房切除か温存か悩んでいる、という相談が多くを占めていましたが、最近はリンパ節を切りたくない、自分が受けている抗がん剤やホルモン剤などの術後補助療法に疑問を感じるなど、より具体的な相談が増えています。本やインターネットなどで情報を得たうえで、電話してくる方が多くなっているのです。
情報の豊富さが、逆に混乱のもととなることもあり、今はその交通整理のような役割が求められていることを感じます。
毎月のおしゃべりサロンは、だれでも自由に参加できる集まりなのですが、そこに参加した再発している人からの「ほかの再発患者が、どういう治療をしているのか、情報交換したい」という声から始まったのが再発おしゃべりサロンです。5年前のことでした。参加者を再発した当事者・家族に限定しています。なんの気兼ねもなく話せるのが嬉しい、と言う人もいます。
恐る恐る始めたこの会で、私たち世話人は、再発した方たちのパワーに圧倒されました。症状さえなければ元気なんだ、という当たり前のことに気づいたわけです。
03年10月末にはこの再発おしゃべりサロンから発展した体験記『再発後を生きる』を三省堂から出版しました。21人が実名で参加しています。「再発しても病人として生活してるわけじゃない、普通に生活しているんだよ」というメッセージが伝わる本になりました。
少し前までタブーだった再発・転移について私たちは早くから勉強し、情報を伝えてきました。
今回リメイク版として出版した『再発・転移の話をしよう』(三省堂)は、まだ再発の情報がほとんど無かった10年前に、医師と開催した勉強会でのやりとりを本にしたものです。このころすでに「再発をタブーにするのはやめよう」と私たちが医師に提案しています。
98年、2000年には患者側として初めての臨床試験ワークショップを開催しました。
臨床試験が、目の前の患者の治療を目的とするものではなく、その後ろにいる多くの患者の治療法を確立するための実験である、という講義にびっくりすると同時に、だからこそ倫理的に正しくなくてはいけない、本当に必要でなければ実施してはいけない、ということが腑に落ちたのです。
この報告書をまとめた『患者が学ぶ臨床試験』を、サイエンティスト社から出版しました。医学書コーナーに置かれています。患者の視点からはどう見えるのか、医療者にこそ読んで欲しい本だと思います。
臨床試験について意見を求められることが多くなり、02年7月、日本製薬工業協会主催のシンポジウム「いま治験を考える」へのパネリスト参加、03年3月、厚生労働省医政局からの依頼で「全国治験活性化3ヶ年計画」に関する有識者ヒアリングへの出席をしています。また、02年10月には医薬ビジランスセミナーの分科会「新薬承認のからくり」で講師をつとめました。興味のある会員のための「臨床試験勉強会」も、04年2月に4度目の開催となります。
「再発・転移」も「臨床試験」も、必要であるのに情報の乏しい部分であったと思われるころから、その情報を集め、発信してきました。
このような、社会へ向けての活動も私たちの重要な役割であると考えています。
乳がん体験から医療を考える会 イデアフォー
〒136-0071 東京都江東区亀戸2-30-6 1F
電話・FAX:03-3682-7906
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