進行した中部胆管がん。どんな内科的治療があるのか

回答者:森実 千種
国立がん研究センター中央病院 内科医師
発行:2010年2月
更新:2013年11月

  

近くの病院で、中部胆管がんと診断されました。局所の進展が強すぎて、手術はできないと言われました。内科的な治療を受けるとしたら、どのような治療法があるのでしょうか。

(秋田県 女性 70歳)

A ジェムザールとシスプラチンの併用療法を最優先

遠隔転移はないものの局所の進展が理由で手術ができない胆管がん(局所進行胆管がん)の場合、化学療法もしくは放射線化学療法が行われてきました。ただ、化学療法と放射線化学療法のどちらがよりよい治療であるかに関してはわかっていません。

今まで進行胆管がんの内科的治療に関しては、十分なデータがなかったのですが、09年に、米国臨床腫瘍学会(ASCO)で、化学療法に関する有効性を示したデータが1つ出ています。これは、進行胆道がん(胆管がん、胆嚢がん、十二指腸乳頭部がん)の患者さん410人を対象に、ジェムザール(一般名ゲムシタビン)とシスプラチン(商品名ブリプラチンまたはランダなど)の併用療法とジェムザール単独療法を比較し、検討した多施設共同無作為化第3相臨床試験(ABC-02試験)です。

ジェムザールとシスプラチンの併用群は、ジェムザールとシスプラチンを1日目と8日目に点滴をし、3週間を1サイクルとして、8サイクルまで続けました。ジェムザール単独群は、ジェムザールを1日目、8日目、15日目に点滴し、4週間を1サイクルとして、6サイクル行いました。

この試験の結果、ジェムザールとシスプラチンの併用群の延命効果が示され、副作用も大きな違いがありませんでした。

これらの結果から、ジェムザールとシスプラチンの併用療法は、進行胆道がんに対する標準療法と考えられるようになりました。

今まで進行胆道がんの領域では、世界的に認められた標準療法はありませんでしたので、この研究結果は、大きな価値のあるものです。

この試験の対象となった進行胆道がん患者さんの内訳は、局所進行胆道がんが25パーセント、遠隔転移を有する胆道がんが75パーセントです。原発巣の部位は、胆管が59パーセント、胆嚢が36パーセント、十二指腸乳頭部が5パーセントという割合です。

局所進行胆管がんに対する放射線化学療法は、治療戦略としては、理にかなっており、実際に行われる機会もありますが、前述のような大規模な臨床研究で効果が確認されたわけではなく、現時点ではどれだけよい治療かについては「情報不足」の状態です。

ご相談者の場合、ジェムザールとシスプラチンの併用療法が最優先の治療になると思います。ただし、現時点で、シスプラチンは保険適用外です。

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