肝外胆管がんの疑い。体に負担の少ない治療法を選びたい
お腹の膨満感が気になって、総合病院を受診し、腹部の超音波検査で、肝外胆管がんの疑いがあると言われました。超音波検査だけで診断はできるのでしょうか。診断には、どんな検査が必要なのでしょうか。また、治療法は手術しかないのでしょうか。できるだけ、体に負担の少ない治療法を選びたいと思います。アドバイスしてください。
(岐阜県 男性 64歳)
A 局所に限られていて、手術ができる状態なら、手術が最善
典型的な画像所見を示していれば、腹部の超音波検査で、十分に診断がつく場合もあります。ただ、胆管がんは、画像診断が難しい場合も多く、また、病気の診断のみならず、治療方法を決めるうえでは、病変の大きさや、範囲、周囲の臓器との位置関係や、他の臓器に転移していないか、といった確認も重要です。そのため、造影CT検査、MRI(MRCP)、針を刺して行うPTC(経皮的胆道造影検査)、胃カメラを飲むERC(内視鏡的逆行性胆道造影検査)、胆道鏡といった検査が必要に応じて選択されます。
画像のみで診断がつけにくい場合には、ERCや、PTC、胆道鏡で胆汁を採取したり、胆管から直接生検を行ったりする場合もあります。これらの検査の中には、体の外から針やチューブを挿入する必要があり、体への負担と検査により得られる情報とのバランスを考えて行うかどうかを決めます。
肝外胆管がんの場合は、根治という完全にがんを体の中から根絶させた状態の可能性がある治療法は、手術に限られてしまいます。そのため、がんが局所に限られていて、手術ができる状態なら、手術が最善の治療法と言えます。
手術以外には、抗がん剤治療や、放射線療法、光線力学療法などが挙げられます。抗がん剤は、ジェムザール(一般名ゲムシタビン)か、TS-1(一般名テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム)のどちらかを用います。標準治療は確立されていません。放射線療法には、体外から放射線を照射する方法と、胆管の腫瘍のある部分に管を通して、胆管の内側から照射する腔内照射といった方法があります。光線力学療法は、レーザー光に反応するフォトフリン(一般名ポルフィマーナトリウム)という薬剤をがん細胞に集積させた後に、レーザー光線を当てて、がん細胞を破壊する治療です。放射線療法と光線力学療法は、転移があるときには適応されません。各治療法は、ご本人の体調や、腫瘍の存在範囲によって長所と短所があり、どの治療法が最も良いかについてはわかっていません。また、これらの治療法は、手術よりも体への負担が軽い可能性がありますが、がんの治療はいずれも副作用や合併症が起こる可能性があります。体調がすぐれない状態で無理をして行ったり、体質的に合わなかったりすると、かえって体調を悪くする場合もあります。