膀胱がんで再々発。今後再発しても、膀胱全摘だけは避けたいが

回答者:冨田 京一
東京大学医学部 泌尿器科医師
発行:2006年5月
更新:2013年12月

  

68歳の父の膀胱がんについてご相談します。2004年12月と2005年5月に経尿道的膀胱腫瘍切除術を受けましたが、その後、グレード1の膀胱がんが再発したため、2005年8月からBCG注入療法を計8回受けました。今のところ、さらなる再発は見られませんが、また再発したら、膀胱全摘手術を行うだろうと言われています。しかし、本人は膀胱全摘だけは避けたい意向です。膀胱がんがまた再発した場合、どのような治療法が考えられるのでしょうか。

(広島県 男性 40歳)

A 膀胱全摘手術が標準。そのタイミングが大切

文面からは、04年12月ごろに膀胱がんが発見されて、翌年5月ごろに再発、さらに8月に再々発したと読み取れます。

「グレード1の膀胱がんが再発した」とお書きですが、短期間に膀胱がんが2回も再発した場合は、グレード2や3といった悪性度の高いがんであるケースが一般的です。ご相談者のようなケースで、グレード1の再発は皆無ではありませんが、通常は見られません。もしかしたら再発ではなく、前回の治療が完全ではなく、がんが残存していた可能性もあります。

今後さらに再発した場合、グレード1や2の表在性の膀胱がんであれば、再びBCGまたは抗がん剤の膀胱内注入療法を行い、経過をみることができると思います。しかしながら浸潤性の膀胱がんまたは1年以内にグレード3を含む表在性の膀胱がんが再発した場合は、膀胱全摘をおすすめします。膀胱がんが浸潤性になり転移してしまうと根治するのが非常に難しくなります。そのため膀胱全摘を行うタイミングが大切であると同時にその判断が難しいのです。

手術以外の治療法には、動注化学療法があります。これは、大腿動脈にカテーテルを入れて膀胱近くの動脈から直接、抗がん剤を注入する方法で、これによって、濃度の高い抗がん剤を膀胱に投与することができます。

この動注化学療法に放射線治療を加えて治療しますと10年間ほど調べた国内のデータでは、膀胱全摘とほぼ同等の成績が得られています。ただし、世界的には、今のところ標準治療には至っていません。他には、全身の化学療法に放射線治療を加えた治療法もあります。動注化学療法+放射線治療、全身の化学療法+放射線治療ともに、激しい排尿痛、排尿時の出血、膀胱萎縮などの副作用が起こることがあり、その場合、QOL(生活の質)はかなり下がってしまいます。また、膀胱をこのように温存しても後日、再発し約30パーセントで膀胱全摘を行っています。

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