HLAが不一致の場合のリスクと、治療の可能性は?

回答者:秋山 秀樹
東京都立駒込病院 血液内科医長
発行:2004年11月
更新:2013年12月

  

急性リンパ性白血病と診断され、化学療法を受け続けていましたが、寛解に至りませんでした。そのため、骨髄移植も考えると主治医に言われました。しかし、血縁者に適合者がいなく、骨髄バンクで探してもフルマッチのドナーは見つかりませんでした。そこで、HLAが一座不一致のドナーを探すことになったのですが、もし見つかった場合でも、かなり危険を伴う移植になるようです。HLA不一致の移植のリスクと可能性について教えて下さい。

(山口県 男性 43歳)

A 不一致の場所と程度をまず確認。生着不全などが起こることも

HLAというのは、移植において、患者さんとドナーの相性を示す白血球の型のことです。

HLA不一致の移植のリスクや可能性は、白血病の種類やHLAの不一致の場所と程度によって変わってきます。

以上の3点がわかれば、それぞれの場合についてのデータを調べることができます。それは、財団法人骨髄移植推進財団データ・試料管理委員会が発表している「日本骨髄バンクを介した非血縁者間骨髄移植の成績報告書」に掲載されています。

この報告書は主治医がお持ちのはずなので、これをもとにインフォームド・コンセント(説明と同意)を十分に行って、判断されることを勧めます。

「HLA不一致の移植のリスク」については、HLAが一致している場合に比べ、高くなるのは確かです。

具体的には、生着不全が起こる危険性が高まります。生着とはドナーから移植した造血幹細胞が患者さんの骨髄の中に入り込んで、新たな血液細胞を作り始めることです。生着不全はこれがうまくいかないことです。

また、GVHD(移植片対宿主病)が起こることもあります。

これは、患者さんの体内で増えたドナーのリンパ球が患者さんの体の組織を敵と見なして攻撃することで起こります。皮膚や消化器、肝臓などが障害されて、皮疹や下痢、黄疸などの症状が現れます。

生着不全もGVHDも、命にかかわる重篤な合併症です。

HLAの一座不一致のドナーを探すには、それ相応の手続きが必要になります。そして移植を決定する前に、最初にお話ししたように、HLAの不一致の場所と程度を主治医に確認することをお勧めします。

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