グリオーマにはどのような治療法があるか

回答者:森田 明夫
NTT東日本関東病院 脳神経外科部長
(2010年11月)

頭痛が気になって、病院で検査を受けました。CT検査では、頭の右側に腫瘍の影が見つかり、さらに、MRI検査や脳の血管造影検査などを受けた結果、数センチの腫瘍があり、グリオーマ(神経膠腫)の疑いがあるとのことです。どのような治療法があるでしょうか。ご意見をお聞かせください。

(岐阜県 女性 33歳)

A 正確な診断のもと、広範囲に、後遺症なく切除

グリオーマにはいろいろなタイプがあり、星細胞腫、乏突起膠腫、上衣腫の3つが代表的なものです。星細胞腫が最も多く、乏突起膠腫は遺伝子検査でわかるようになり、薬がかなり効きます。また、悪性度によって、グレード1から4までに分けられます(1は悪性度が最も低い)。1から4が混じっていることもあり、正確な診断が重要です。

MRIやPETなどの画像で、悪性度はある程度わかります。MRIでは、グレード3、4は造影されやすいため、わかりやすいのです。

グレード1、2は造影されないものが多いですが、星細胞腫のグレード1のパイロシテックアストロノーマと、神経節膠腫のグレード1は非常に造影されやすく、腫瘍を取り除くことができれば、完全治癒が期待できます。

画像ではわかりにくく、腫瘍が数センチもある場合には、最初に生検という方法で腫瘍を一部切除して診断し、そのあとで、切除手術を追加するという2段構えの治療を行うこともあります。

実際には、正確な診断と治療を目的に、1回の手術で、できるだけ広範囲に、かつ後遺症がないように腫瘍を切除することが多いです。手術現場では、広範囲に切除し、かつ後遺症を少なくするために、さまざまな工夫をしています。

1つはニューロナビゲーターという装置を用いた手術。術前の画像をもとに、コンピュータ内に表示されたMRIで腫瘍の場所を確認しながら手術をしていきます。最近では、術中にMRI撮影をして、術前の情報を修正しながら行うこともできるようになっています。

もう1つは、術前にファンクションMRIという特殊なMRIで、患者さんに手を動かしてもらったり、しりとりを頭の中でやってもらったりしながら脳の機能を見ておく方法。いろいろな機能を画像化する技術もできています。術中に用いるナビゲーションの画像の中にファンクションMRIの情報を入れることができます。

また、腫瘍が言語野に近ければ、覚醒手術も行います。これは、生理機能モニタリングの1つで、患者さんに手術中に起きてもらい、話しかけたり、電気で刺激したりして、言語機能を確かめながら手術を行います。

こうしたことを一生懸命行っても十分とはいえないことが多いです。そこで、術後補助療法として、テモダール(一般名テモゾロミド)や放射線治療を用いることもあります。最近では、分子標的薬のアバスチン(一般名べバシズマブ。現在治験中)も有効といわれています。腫瘍は自分で血管を作りながら育っていきますが、アバスチンは、その血管を作る因子を抑えます。また、ヘルペスウイルスの1種に腫瘍を食べさせてしまう、という新しい治療法も開発されつつあります。総合的な治療が受けられるところで、正確な診断をしてもらうことが大切です。

PET=陽電子放射断層撮影
言語野=脳の大脳皮質のうち、言語機能をつかさどる領域
ヘルペスウイルス=水痘や帯状疱疹などの病原性ウイルス。神経を侵して神経痛を引き起こすこともある