グリオーマ(神経膠腫)の手術は機能障害が残ると言われ、迷っている

回答者:林 基弘
東京女子医科大学 脳神経外科講師
(2008年11月)

頭が重く感じて、近くの病院でCT検査を受けたところ、右のこめかみの奥に白い影が見つかりました。紹介された別の病院でMRI検査なども受けました。言語や運動機能にかかわる場所の近くに、4センチほどの腫瘍があり、グリオーマ(神経膠腫)で、悪性度はグレード2もしくは3のようです。手術をすると、機能に障害が残る場合もあるとのことで、迷っています。後遺症の少ない、安全な手術はないのでしょうか。

(福島県 女性 30歳)

A 当施設では、残存腫瘍を確認しながら安全確実な手術をしている

グリオーマは、周囲の組織に浸潤性に広がる特性をもつため、正常範囲との境界がはっきりしません。

生存率を高めるために、周囲の正常脳組織も一緒に切除してしまうと、言語や運動機能にかかわる領域を傷つけ、言語障害や手足の麻痺を引き起こしかねません。

一方で、機能温存を目指すがあまり消極的に摘出が終わってしまえば、すぐに再発してきます。そこで、当施設では、術中MRIシステムと手術用ナビゲーターを用い、残存腫瘍の位置をリアルタイムに確認しながら安全確実な手術ができるようになりました。

さらに、どこにどんな機能があるのかの機能局在を、手術中に直に脳を刺激して、麻酔から目覚めさせた患者さんと会話して行う覚醒下手術を用いています。これにより摘出率を高め、後遺症を残さない安全かつ積極的な手術になりました。本システムの導入以来、現在5年生存率もかなり向上しています。なお、ガンマナイフ治療でグリオーマをコントロールすることは難しいと思います。脳浮腫という後遺症を残すこともあります。通常、ガンマナイフ治療は行いません。