グリオーマの手術後、放射線治療は必要な治療か
60歳の母のことで相談です。2007年5月、CT検査で右のこめかみの奥に白い影が見つかりました。総合病院でMRI検査や脳血管造影で、4センチの腫瘍があるとのことです。生検の病理検査の結果、グリオーマ(悪性神経膠腫)でグレード3との説明を受けています。手術ができるとのことなので、手術を受ける予定です。手術後、放射線治療や、化学療法も受けたほうがよいとの説明も受けています。手術は受け入れられますが、手術後に放射線を照射することに躊躇しています。放射線治療は、必ず受けなければいけない治療なのでしょうか。
(宮崎県 男性 32歳)
A 手術後は、放射線化学療法が必要
グリオーマは、脳のなかにしみ込むように浸潤して、広がっています。そのため、手術だけで完全に摘出することは困難です。しみ込んだ腫瘍を治療するためには、手術後に、摘出した場所を含めた腔周囲に、放射線化学療法を行う必要があります。放射線化学療法の実施が有意に予後を改善することはいくつかのランダム化比較試験で証明されています。
グリオーマに対しては、放射線治療は通常6週間かかりますが、放射線治療と併用して抗がん剤のテモダール(一般名テモゾロミド)による化学療法を行います。
さらに、維持療法として、4週間置きにテモダールを服用するのが標準治療になっています。テモダールは、飲み薬なので外来でも使え、重い副作用が少ないという利点があり、2年をめどに服用してもらいます。健康保険が適用されますが、多少高価です。
一般的に、右利きの患者さんの場合、脳の右側(非優位半球)に腫瘍があるときは、その腫瘍を完全に切除できることがあります。また、腫瘍が運動や言語を支配する場所にないときは、手術で腫瘍を含めてかなり大きく切除しても後遺症は残りません。最近では左側の優位半球の腫瘍に対しても覚醒下に手術を行いながら、できるだけたくさんの腫瘍を摘出します。
グリオーマは悪性度が高いため、できるだけ早く摘出することが大切です。手術後は、放射線化学療法が必要です。