膠芽腫のペプチドワクチン治療は?

回答者:藤巻 高光
埼玉医科大学 医学部脳神経外科学教授
(2013年3月)

2年前に膠芽腫の治療を受けましたが、最近再発しました。効果的な治療を試して、できるだけ長く生きたいと考えています。がんペプチドワクチンが最近話題になっていますが、臨床試験などで自分に参加できるものはあるのでしょうか。

(埼玉県 男性 35歳)

A 臨床試験で再発例を募集中

免疫療法というのは、もともと強い治療法ではないので、効く人は一部です。膠芽腫については、久留米大学が開発したワクチンがあり、これまでに少ない人数を対象とした小規模試験で、一部の患者さんでかなりの延命効果があることがわかっています。このペプチドワクチンについて、現在、ITK1という全国レベルの大規模な臨床試験が始まっています。

この臨床試験は、久留米大学を中心に、全国10の都道府県の十数カ所の病院で実施しています。

対象となるのは、通常の放射線治療や化学療法を受けたあとに再発した人です。さらに、このペプチドワクチンは、HLAという体の免疫のタイプが合っている人にしか使えない薬です。HLAの型を調べた結果によって、残念ながら対象とならない方もいます。

また、現状では、どの程度の方に効果があるかについては、結果が出ていません。

現在も患者さんを募集中ですが、投与群と非投与群で効果を比較する試験なので、治験に参加しても実際は、効果のない偽薬を受けることになる方もいることを念頭に入れていただければと思います。