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遺伝子検査とは?

回答者・上野貴史
板橋中央病院 外科医師
発行:2013年12月
更新:2014年3月

  

浸潤性乳がんで手術をすることになっています。術後に薬物療法を行う予定ですが、ホルモン感受性は陽性、HER2は陰性です。私のような場合、ホルモン療法単独でいいのか、抗がん薬との組み合わせが必要なのか、それを調べる遺伝子検査があると聞きました。どんな検査で、どんなメリットがありますか。どういった条件の人なら受けたほうがいいのですか。費用はどのくらいかかるのですか?

(45歳 女性 山形県)

再発リスクを調べる検査

板橋中央病院外科医師の上野貴史さん

乳がんの薬物療法には抗がん薬とホルモン剤と分子標的薬があり、どの薬剤を使用するかは乳がんのサブタイプによって決まります。サブタイプ分類は正確には遺伝子発現状況により行いますが、臨床的にはホルモン受容体およびHER2タンパク発現の有無とKi-67染色率でほぼ代用できるとされています。

ご相談者のようにホルモン感受性陽性、HER2陰性の場合はルミナルタイプとされ、ホルモン療法が有効です。ただしルミナルタイプもルミナルAとルミナルBに2分され、原則Aタイプではホルモン療法単独でよいとされますが、Bタイプでは再発リスクがやや高く、抗がん薬も併用したほうがよいとされています。ただしAタイプでもグレード3の異型度の場合や4個以上のリンパ節転移がある場合には抗がん薬併用を勧める意見もあります。

質問者の場合には、ルミナルAタイプかBタイプかを鑑別するため、まずKi-67染色率を調べるのが先決です。以前は14%より高いか低いかで区別していましたが、最近は20%程度で分けてもよいとされてきています。またホルモン受容体のうちのプロゲステロン受容体発現率が20%以下の場合ではルミナルBと考えたほうがよいと変わってきました。

それらを調べてみてもルミナルAとBの区別が曖昧なときには、遺伝子検査を受けてどちらのタイプかを調べる意味があります。遺伝子検査として、「オンコタイプDX」という方法が商品化されています。乳がんの再発に関連する21種類の遺伝子を調べ、再発リスクをスコア化し、低、中、高のリスクに分類します。低リスクではホルモン療法に抗がん薬を加えてもベネフィット(利益)は薄く、高リスクでは効果の上乗せが期待できるとしてその併用療法が勧められるとしています。

オンコタイプDX検査法を利用するケースとしては、前述した方法でAタイプかBタイプか区別するのに迷う場合に、補足の検査として考慮するといったようなことが考えられます。ただし、低リスクと判定されたケースで抗がん薬を省略して成績が落ちないかどうかは、現在臨床試験中であり、結果はまだ出ていません。また保険適用の検査方法ではなく、40数万円の費用がかかります。関心がおありであれば、主治医にご相談をされて、ご自身にそのメリットがあるかどうかをご確認の上、判断をされるのがよいでしょう。

浸潤=がん細胞が周辺の細胞にしみこむように広がっていくこと

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