腫瘍マーカーが上昇。再発・転移しているのか

回答者・上野貴史
板橋中央総合病院外科医師
(2015年4月)

2009年に右乳がんの手術をしました。ステージⅡB、HER2陽性、ハーセプチン、タキソールなどの抗がん薬治療を受けました。現在薬は服用していません。13年まで定期的な血液検査を行い、とくに異常値は示さなかったのですが、14年5月に腫瘍マーカーBCA225の値が184U/mlに上がりました。CT検査や左乳房のマンモグラフィ検査を行いましたが、とくに異常はありませんでした。BCA225値は5月 184U/ml、8月 188U/mlと上がり、11月 174U/mlに下がりました。術後5年過ぎても再発リスクは高くなりますか。また腫瘍マーカーは上下するものですか。転移しているということですか。

(80歳 女性 三重県)

再発の可能性は恐らく低い。全身検査ではなくマーカー値のフォローでよいのでは

板橋中央総合病院外科医師の
上野貴史さん

腫瘍マーカーBCA225の値は、160U/ml以下が基準値ですが、たとえ基準値以上であっても必ずしも再発とは言えません。がん以外でも様々な原因で数値の上昇が見られるからです。ご相談者のBCA225の元々の数値が分からないのではっきりしたことは言えませんが、再発の可能性は低いと考えられます。腫瘍マーカーの数値に関しては、測定誤差などもあり、多少上下することはあります。ただし、もし再発していた場合、経時的に数値は必ず上がります。この方の場合、5月から11月までに数値は上がっていません。従って、再発ではなく偽陽性の確率が高いと考えられます。

乳がんの場合、手術後5年経っても再発リスクはあり、術後10~15年と見ていく必要があります。ただし再発リスクが年々高くなることはなく、むしろ緩やかに減少していきます。一般的に晩期再発はホルモン受容体陽性例で多い傾向にあります。

基本的に術後、症状がないときに腫瘍マーカーを測定する意義は認められていません。遠隔再発の早期発見による延命効果は証明されておらず、マイナス面として再発かどうかと悩む人が出てくるからです。

現時点の方針としては、PETなどの全身検査をするのではなく、経時的にBCA225値を測って、経過をみるのが妥当と思われます。万が一、再発であっても経過をみたために予後が変わることはまずありません。

ハーセプチン=一般名トラスツズマブ タキソール=一般名パクリタキセル