非浸潤性乳管がん。ノルバデックスの服用をやめてもいい?

回答者・上野貴史
板橋中央総合病院外科医師
発行:2014年12月
更新:2015年3月

  

非浸潤性乳管がんで、がんの大きさは1.5cm、乳房温存手術、放射線治療を受けました。しかし、このタイプはがんが広がっているわけではないので、もしかしたら放射線は過剰治療ではなかったかと思っています。また、術後ノルバデックスを飲み始めたのですが、ほてりや倦怠感があり、気分もふさぎがちです。服用を止めることはできますか。

(50歳 女性 東京都)

副作用がつらい場合は服用しなくても問題ない

板橋中央総合病院外科医師の
上野貴史さん

非浸潤性乳管がん(DCIS)は、乳管の上皮に異常細胞が認められるものの、乳管以外の組織には広がっていない状態を指します。乳がんのステージでいうと0期であり、遠隔転移をきたさないので、完全切除すれば理論的には根治します。

ご質問の方は、放射線治療をしなくてもよかったのではと思っていらっしゃるようですが、乳房温存手術の後は放射線治療をするのが原則です。

放射線治療を受けなかった場合は、15年で23%~35%の局所再発率が報告されています。照射すると約半減して9%~20%ぐらいになります。照射が不要なケースも多いと考えられていますが、はっきりと選別することは困難とされています。異型度、腫瘍径、マージン、年齢などを考慮して照射適応を決定しますが、標準的には照射したほうがいいと考えられています。

ノルバデックスに関しては、「服用することを考えてもよい」というのが標準治療です。内服により局所再発が14.5%から10%と減少し、対側乳房の乳がん発症リスクが6.9~4.7%へ減少したという臨床試験の報告があるので、服用することが検討されます。生存率には差はありません。別の臨床試験では、照射している場合にはノルバデックスを内服しても局所再発は減少しませんでした。副作用がつらければ止めても問題ないでしょう。

ノルバデックス=一般名タモキシフェン

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