頭部の横紋筋肉腫、手術以外の治療は?

回答者・長谷川大輔
聖路加国際病院小児科医幹
発行:2014年9月
更新:2014年12月

  

4歳の息子が頭部の横紋筋肉腫と診断されました。手術は大がかりなものになるということで、専門の大病院を紹介されました。どのような手術が行われるのでしょうか?ほかに治療選択肢はありませんか?

(40歳 男性 愛知県)

術前療法で腫瘍を小さくしてから切除

聖路加国際病院小児科医幹の
長谷川大輔さん

体を動かすときに使う筋肉を骨格筋といい、その骨格筋を形成しているのが横紋筋です。横紋筋肉腫は、骨格筋になるはずの細胞から発生した悪性腫瘍です。膀胱・子宮などの泌尿生殖器や、消化器、手足など全身に生じえますが、目の奥や頬の奥など頭部にできることも多いです。

頭部に生じた横紋筋肉腫は、しばしば顔面の変形によって最初に気づかれることがあります。あるいは、腫瘍の一部が眼球を動かす筋肉を圧迫することで目の動きが悪くなることもありますが、本人にとっては少しずつ進行するので自覚がないこともあります。

頭部の横紋筋肉腫といっても、浅い部分にあるのか、奥のほうにあるのかで対応が違ってきます。ご質問の文面ではそこまで触れていませんが、「大がかりになる」と言われたということは、深い部位だったと推測されます。いずれにせよ手術でどれだけ切除できるかが重要ですので、浅くても、深くても、手術は必須の治療法となります。

可能ならば一度に全部摘出したいのですが、頭部は重要な器官や骨、神経が密集している部位だけに、根こそぎ取るのは難しいのが現実です。浅い場合は、表面から切除すればいいのですが、頭部の奥の方に生じた腫瘍の場合、十分に取り切ることが困難なことがしばしばあるため、すぐに完全切除を試みるのではなく、まず生検をして病理診断を行います。さらに他の部位に転移があるかをチェックした上で、放射線治療と化学療法で腫瘍の大きさを小さくしてから全摘を目指すことも行われますが、頭蓋骨や顔の骨を切開しての長時間に及ぶ手術が避けられないこともありえます。

ある患者さんでは、骨にかかるところを手術したため変形が残り、何年かごとに形成手術しています。どんなに技術のある外科医師が丁寧に手術しても、見た目の影響が残ってしまう可能性があります。

そして、手術は必須ですが、多くの患者さんでは化学療法、放射線治療を含めた集学的治療を行わなければならないということも付け加えなくてはなりません。

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