下咽頭がんにアービタックスがいい?

回答者:林 隆一
国立がん研究センター東病院 頭頸部腫瘍科形成外科科長
(2013年2月)

TⅢ期の下咽頭がんで、これから、化学放射線治療を行う予定です。インターネットで調べたところ、頭頸部がんではアービタックスという薬剤が高い治療効果が期待できると書いてありましたが、これはどういう薬剤なのでしょうか?

(石川県 女性 60歳)

A 有効な薬剤。間もなく承認予定

アービタックスは進行大腸がんの治療薬として現在、承認されている分子標的薬です。この薬剤は上皮成長因子受容体という遺伝子の変異をターゲットにした薬です。頭頸部がんの多くは扁平上皮がんに分類され、多くのがんでこの遺伝子の変異が確認できます。

この薬剤の頭頸部がんに対する有効性は、海外で行われた2つの臨床試験で証明されています。

1つはボナー試験と呼ばれる臨床試験で、放射線治療と放射線治療+アービタックスの併用療法が比較されました。

その結果、併用して行うことで患者さんの生存期間が大きく延長されることが確認されました。

もう1つの臨床試験は、エクストリーム試験というもので、頭頸部がんに対する標準的な治療であるプラチナ製剤と5-FUの併用療法と、標準的治療にアービタックスを加えた化学療法の比較が行われました。

結果はアービタックスを併用した群で生存期間の延長が証明されました。この試験は日本でも追試をされ2012年12月21日、頭頸部がんでも承認されました。

しかし、皮膚炎やアレルギー反応など、従来の抗がん薬とは異なる副作用に対する対応が必要となりますので、担当の先生と十分相談することが必要です。

アービタックス=一般名セツキシマブ 5-FU=一般名フルオロウラシル