1期の腎臓がんに。「ハルス」とはどんな手術法か
左側の腎臓にがんが見つかりました。ステージは1期で、がんの大きさは3センチ×2.5センチほどです。手術は「ハルス」という方法を提案されました。開腹手術より体への負担が小さそうなので、この手術をお願いしようかと思いますが、今ひとつ、どんな手術かわからないところもあります。この手術の安全性、傷口の程度などについても教えてください。
(兵庫県 女性 55歳)
A 開腹手術と腹腔鏡手術を合わせたような手術
「ハルス」とはHALSのことで、Hand Assisted Laparoscopic Surgeryの略です。直訳すれば、「手で補佐しながら行う腹腔鏡手術」の意味になります。開腹手術と腹腔鏡手術を合わせたような手術法ともいえます。
通常の開腹手術では、腹部を8~10センチほど切開しますが、ハルスで切開するのは通常、約4.5センチです。
通常の腹腔鏡手術と同様に、ポートと呼ばれる孔をあけ、そこから腹腔鏡や手術器具を挿入します。さらに炭酸ガスを腹部に注入し、おなかを膨らませ、手術操作のスペースを確保します。その後、内視鏡を挿入し、内部の映像をモニター画面で見ながら、片方の手をそのスペースに入れ、手術を進めます。
ハルスの利点は、不測の事態、たとえば出血などが起きた場合に、手術者または助手の手で直接、対応することができる点です。
一方、欠点は、炭酸ガスを入れて膨らませているところに手を入れるため、視野が狭くなり、操作がしづらくなることがある点です。そのため、ハルスを好まない泌尿器科医もいますが、積極的に実施している泌尿器科医も少なくありません。
特殊な手術法ではなく、健康保険も適用されます。
利点と欠点を併せて考えてみると、ハルスの経験を積んでいる泌尿器科医であれば、手術の安全性は高いと言ってよいでしょう。
そういった意味では、主治医にハルスの実施数などを聞いて、その上で判断してもよいかもしれません。