腎盂尿管がんで、腎臓と尿管、膀胱壁の1部を含めた腎尿管の全摘と膀胱の部分切除。留置カテーテルが痛み、苦痛

回答者:高橋 悟
東京大学大学院 泌尿器科助教授
(2005年7月)

takahashi[1]

2年ほど前、腎盂尿管がんと診断され、腎臓と尿管、膀胱壁の1部を含めた腎尿管の全摘と膀胱の部分切除をしました。しかし、今年になって、尿が出なかったり、脇腹が痛んだり、血尿が出たりしたため、検査を受けると、反対側の腎臓に腫瘍が見つかりました。移行上皮がんで、塊ではなく、粘膜の上に広がった感じで、腎盂のほうにがんがあるとのことです。現在、尿管から腎盂までカテーテルを入れて、抗がん剤のマイトマイシン(一般名マイトマイシンC)、アドリアマイシン(一般名ドキソルビシン)を注入していますが、身体がしんどくて、カテーテルの側がひりひり痛み、つらい治療です。カテーテルを抜くことができないため、歩くことさえままならず両足の筋肉が大分やせてしまいました。このつらい治療は、我慢して受けるほかはないのでしょうか。

(愛知県 女性 68歳)

A QOL向上のためにはWJカテーテル留置後BCG療法が有効

腎盂尿管がん(尿路上皮がんとも呼ぶ)では腫瘍細胞が膀胱にぱらぱらと広がって、膀胱に再発することが多いため、手術では膀胱の1部も切除します。あなたの受けた手術は、標準的で適切だったと思います。今年、反対側の腎臓に腫瘍が見つかったとのことですが、転移性ではなく、たまたま反対側の腎臓の腎盂にできた上皮内がんだと考えられます。比較的稀なケースです。

浸潤していない上皮内がんだと仮定した場合、治癒を目的にカテーテルによる抗がん剤治療を行っている点はよく理解できます。ただし、この治療だと寝たきりの状態を余儀なくされ、かなり苦痛ですね。患者さんのQOL(生活の質)は低下するように思います。

この治療法に替わるものとしては、結核の予防注射液のBCG(弱毒性結核菌)を用いた治療法があります。BCGは、尿路上皮内がんに対してよく効きます。そこで、体内留置用のカテーテル(WJカテーテル=両端がJ型に曲がったもの)を尿管にそっと挿入して、腎盂から膀胱内までに留置します。その後BCGを膀胱内に注入する方法も考えられます。この治療法なら、頭側を低くして腎盂までBCGが届くように2時間ほどベッドに寝てもらうだけで治療を受けられますから、カテーテルの拘束から自由になることができると思います。2~3週間、少しずつBCGを注入します。ただし、BCGには発熱や血尿などの副作用が少なからずあります。腎不全になる可能性もあります。そのため、薄い濃度で少量をゆっくりと行うことが大切です。

それでも治療効果がなく、がん細胞が消えないようでしたら、腎摘出をして、人工透析による治療を選択したほうがよいように思います。腎盂は筋層が薄く、腫瘍が少しでも粘膜下層に浸潤すると進行が早いからです。1つしかない腎臓を守ろうとするお気持ちはわかりますが、むやみに現在のカテーテル治療を引き延ばさないほうがよいと思います。人工透析治療で上手に管理できれば、10年程の生存も十分期待できます。