限局型の小細胞肺がん。治療方針の確認をしたい

回答者・久保田 馨
日本医科大学付属病院がん診療センター長
発行:2015年11月
更新:2016年2月

  

小細胞肺がん右肺限局型です。腫瘍の大きさは8㎝強です。抗がん薬はシスプラチンとエトポシドを8月12日~14日までの3日間行いました。放射線治療は月曜日から週に5日で1日1回を6週間と言われています。この治療方向で間違いないでしょうか?

(52歳 男性 茨城県)

治療方針は間違いない。放射線治療は1日2回、3週間が推奨

日本医科大学付属病院がん診療
センター長の久保田 馨さん

小細胞肺がんで限局型の場合、4サイクルの化学療法(シスプラチン+エトポシド)と放射線治療の同時併用療法が標準治療です。治療方向は間違いありません。

専門的になりますが、放射線治療は、1回1.5Gy(グレイ)を1日2回(6時間以上あけて)、3週間(30回)行い、合計45Gyの照射が推奨されます。これは、1日1回1.8Gyを5週間(25回)行い、合計で45Gy照射する方法と比較して、1日2回に分割して照射したほうが、生存期間が有意に良好だったという臨床試験結果に基づきます。腫瘍が大きい場合は化学療法を先行し、縮小した腫瘍に合わせて放射線を同時併用することもあります。

限局型の小細胞肺がんは、根治も期待できる状況です。治療の目標を根治として、放射線治療をなるべく休まずに続けることが重要です。

治療中に白血球が減少しますが、発熱などの症状がなければ、仮に白血球の数が1,000以下になっても放射線治療は休まずに続けます。発熱を起こさないように、必ず歯科受診をして歯のブラッシングやフロスも使った口腔ケアをしっかり行います。歯科衛生士に口腔ケアの指導を受けてください。

歯垢1gあたりの細菌の量109個で、糞便と同じと言われています。この口の中の細菌が原因で、敗血症や肺炎を引き起こすと言われています。また、禁煙はもちろんのこと、受動喫煙も避けるよう注意しましょう。食事は何でも大丈夫ですが、放射線による食道炎が起きてきますので、あまりに熱いものや刺激が強すぎるものは避けてください。

化学療法と放射線との同時併用療法で明らかな腫瘍縮小が見られた場合は、予防的に脳への放射線照射を行うことをお勧めします。小細胞肺がんは脳への再発転移が多いのです。予防的脳照射は、1回2.5Gyを2週間(10回)行うのが標準です。再発や他のがんの発生を抑えるために、治療終了後も禁煙が重要です。

シスプラチン=商品名ブリプラチン/ランダ エトポシド=商品名ベプシド/ラステット

同じカテゴリーの最新記事

  • 会員ログイン
  • 新規会員登録

全記事サーチ   

キーワード
記事カテゴリー
  

注目の記事一覧

がんサポート3月 掲載記事更新!