小細胞肺がんで右肺に限局。治療法は?

回答者:坪井 正博
神奈川県立がんセンター 呼吸器外科
発行:2009年12月
更新:2013年12月

  

咳が続くため、病院を受診したところ、肺門部にがんが見つかりました。小細胞肺がんで、がんは右の肺だけに限局しているとのことです。主治医からは治療として、ランダまたはブリプラチン(一般名はいずれもシスプラチン)とベプシドまたはラステット(一般名はいずれもエトポシド)の抗がん剤2剤による治療と放射線治療を行うと言われています。しかし小細胞肺がんには、ランダかブリプラチンと、カンプトまたはトポテシン(一般名はいずれもイリノテカン)の組み合わせのほうが効くらしいと医療に詳しい知人から聞いたのですが、どうなのでしょうか。

(香川県 男性 59歳)

A ランダとベプシド+放射線治療が標準

限局型の小細胞肺がんの標準治療は現在、ランダ(またはブリプラチン)とベプシド(またはラステット)の抗がん剤2剤に放射線治療を併用する治療法です。したがって、主治医は標準的治療を提示されています。

ランダ(またはブリプラチン)とカンプト(またはトポテシン)の2剤併用療法については、遠隔転移のある進展型の小細胞肺がんに対して効果があるというデータが日本の研究グループから発表されていますが、限局型には十分なデータはありません。

また、限局型の小細胞肺がんに対して、この組み合わせに放射線治療を併用する治療法には、十分なエビデンス(科学的根拠)がまだありません。進行がんに使われる通常量のランダ(またはブリプラチン)、あるいはカンプト(またはトポテシン)を投与して放射線を照射すると、放射線肺臓炎が起こる確率が高くなることも指摘されています。

以上のことから、心・肺機能など体力的に問題ないのであれば、現状ではランダ(またはブリプラチン)とベプシド(またはラステット)の抗がん剤2剤に放射線治療を併用する治療法がおすすめできます。

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