肝機能低下でタルセバに変更。副作用が心配

回答者・久保田 馨
日本医科大学付属病院がん診療センター長
発行:2015年3月
更新:2015年12月

  

家族のことでご相談です。イレッサを2週間投与しましたが、膀胱炎で処方された薬を服用した直後から肝機能低下を示す数値が極端に上がったため、イレッサを中止。肝機能回復に1週間を経て現在に至ります。主治医からは今後イレッサからタルセバに変えると言われていますが、このような薬の変更はしばしばあることでしょうか?副作用がタルセバは強いと聞いて心配になっています。

(44歳 男性 島根県)

減量することで副作用にも対処可能

日本医科大学付属病院がん診療
センター長の久保田 馨さん

イレッサ投与後2週間で肝機能が低下したということですが、通常イレッサによる肝機能障害は、服用開始後1~2カ月以降に出現することが多く、この方のような時期ではあまりありません。膀胱炎で薬を処方してもらったということですが、もしかしたらイレッサではなく、そちらの薬が肝
臓の機能に影響を及ぼしている可能性もあります。また肝機能は、悪くなった時点で薬を止めることで次第に回復してきます。従って、もう1度イレッサを使い、それでも肝機能が悪くなるようなら、違う薬剤に変えることを考えても良いかもしれません。

イレッサよりもタルセバのほうが肝障害の頻度は低いのです。従ってこの方のように、イレッサを使っていて肝機能が悪くなってしまったためにタルセバに変更する方は結構いらっしゃいます。

また副作用に関してですが、間質性肺炎や下痢などの頻度は両者ともに同じ位ですが、皮疹に関しては、明らかにイレッサよりタルセバのほうが多いです。皮膚に保湿剤(ヒルドイドなど)を全身にたっぷり塗り、皮疹が出たら、その部位にステロイド軟膏を早い時期から塗るようにします。

なお、タルセバには、25㎎錠、100㎎錠、150㎎錠とあるので、もし副作用が強く出てしまった場合には、減量して調整することも可能です。またその場合でも、効果がすぐに落ちるというわけではありません。ですので、ご心配されている副作用についても、予防策や用量を調整していくことで対処も可能かと思います。

イレッサ=一般名ゲフィチニブ タルセバ=一般名エルロチニブ ヒルドイド=一般名ヘパリン類似物質

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