今後、免疫チェックポイント阻害薬の効果がある人は明らかになるのか?

回答者・久保田 馨
日本医科大学付属病院がん診療センター長
発行:2016年8月
更新:2016年7月

  

免疫チェックポイント阻害薬は、今後どのような人に効果があるのか解明される可能性はありますか?

(女性 東京都)

研究段階だが、PD-L1強陽性患者に効果があるとの報告

日本医科大学付属病院がん診療
センター長の久保田 馨さん

現在のところ、腫瘍細胞の50%以上にPD-L1という物質が発現している、いわゆるPD-L1強陽性患者に対して、オプジーボなど免疫チェックポイント阻害薬の効果が高いとの研究報告があります。抗PD-1抗体であるオプジーボは、免疫担当細胞のPD-1受容体とがん細胞のPD-L1との結合を阻害する薬なので、作用機序から言っても、腫瘍細胞にPD-L1がより多く発現している人のほうが、オプジーボの効果があるというのは納得できます。ちなみに、PD-L1強陽性者は、非小細胞肺がん(NSCLC)患者の2~3割と考えられています。

ただ、PD-L1が陰性の人にオプジーボの効果が全くないというわけでもありません。非小細胞肺がんの中でも扁平上皮がんの患者では、PD-L1の発現に関わらず、オプジーボの効果があるという研究結果が報告されています。また、オプジーボと他の薬剤との併用に関する臨床試験が進められています。

今後、腫瘍細胞のPD-L1の発現以外に、PD-1以外の免疫チェックポイント、免疫担当細胞の働き、免疫チェックポイント阻害薬や免疫担当細胞が腫瘍部位にきちんと到達しているのか、などに関する研究が必要です。

オプジーボ=一般名ニボルマブ

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