小さい肺がん。光線力学的療法は可能か

回答者:坪井 正博
神奈川県立がんセンター 呼吸器外科医長
発行:2011年11月
更新:2013年12月

  

人間ドックの喀痰細胞診でがんの疑いを指摘され、くわしい検査の結果、左の肺門部の内側に大きさ約1.5センチの扁平上皮がんが見つかりました。幸い、転移はなかったようです。主治医は手術を勧めていますが、肺がんの手術は体への負担が大きいと聞き、手術以外の治療法を調べたところ、「光線力学的療法(PDT)」があることを知りました。しかし、主治医は1センチを超えたがんなので向いていないといいます。私の場合、光線力学的療法は受けられないのでしょうか。

(岡山県 男性 57歳)

A 条件によっては受けられる

光線力学的療法はレーザーを活用して、がん細胞を集中攻撃する治療法です。がん細胞に取り込まれやすく、かつレーザーに反応すると細胞を傷害する特殊な薬を点滴注射し、薬を取り込んだあとでがんにレーザーを当てて、がん細胞を死滅させます。

手術と違って体への負担が極めて少ないことが大きな利点といえるでしょう。レントゲンに写らない初期肺がんでは、保険適応にもなっています。

光線力学的療法の対象となる肺がんは通常、1センチ以下で気管、気管支の粘膜にとどまるものとされています。しかし、新しい薬が開発され、レーザーへの感度も上がったので、現在は2センチくらいの肺がんでも治療可能な場合があるといわれています。ただし、治療を受けるには、がんが気管支粘膜の下の部分から気管・気管支の外まで拡がっていない、気管支鏡(カメラ)でがんの拡がりを確実に把握できるといった条件があります。

レントゲンやCTなどでわかるようながんであれば、まず光線力学的療法の適応はありません。光線力学的療法の治療実績が豊富な医療機関を受診して、相談されるといいでしょう。

喀痰細胞診=痰の中に含まれている細胞を調べる病理検査
肺門部=気管が左右の気管支炎に分かれる部分

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