TC療法のしびれがひどい。他に治療選択は?
2012年に妻(59歳)が卵巣がんで手術と抗がん薬治療(TC療法)を受けました。抗がん薬治療が終わって、3年で肺への転移(8㎜ほど) がCTで見つかりました。主治医からは、再びTC療法を行う方針との説明を受けていますが、他に治療法はないのでしょうか。
というのも、前回のTC療法では、手のしびれがひどく出て、なんとか治療を乗り越えた感じだったためです。もし他の治療法があるとすればどのような治療になりますか。その場合、TC療法と比べて、治療成績は落ちるものなのでしょうか。
(64歳 男性 千葉県)
A 薬剤のラインアップは多いので選択が可能
産婦人科学講座生殖腫瘍学
准教授の織田克利さん
最初の手術と抗がん薬治療から3年経っているとのことで、病期は記載されていませんが、再発までの期間が長いことから、TC療法への感受性が高かったと推測されます。そのために今回もTC療法を勧められたのでしょう。
肺への転移を「8㎜」とお書きなので、1個ということなのでしょう。他の治療選択肢はあるかとのご質問ですが、8㎜の腫瘍が1つなら手術で取れる可能性があります。呼吸器外科に紹介してもらって、切除可能かどうかなどの診断をつけてもらい、転移を確認することをお勧めします。
転移とみられる腫瘍が本当に1個なのかもきちんと確認することが必要です。腫瘍が血流に沿って転移する場合、多発するケースは多く、肺への転移も複数箇所存在している可能性もあり得るからです。一方で、肺の一部が炎症を起こしていて、転移ではない可能性もあり得ます。手術で取ってそのことを確認することも、1度相談されてもいいのではないでしょうか。
肺転移である場合、通常(手術の有無によらず)化学療法が行われます。TC療法についてですが、再発後にもよく使用されます。一方、ご相談者の奥様の場合のように、しびれがひどくて、しびれを悪くさせない治療を希望される場合には、薬剤を切り替えるという選択肢もあります。
プラチナ系の薬剤は外せないので、*パラプラチン(または*シスプラチン)は必要ですが、*タキソールを切り替えることはあります。その場合、タキソールと似たタイプの薬としては、*タキソテールが選択肢の1つとなります。しびれがタキソールより若干軽くなります。ただし、タキソテールでもしびれは起こり得ます。別系統の薬剤として、*イリノテカン、*ジェムザール、*ドキシル等も候補です。こうした薬剤とプラチナ系薬剤の併用療法も広く行われています。
卵巣がんの薬はラインアップが幅広く、たとえ再発後にタキソールを他の薬剤に切り替えたとしても治療成績は落ちません。こうした中には、脱毛が起きにくいタイプのものもあります。
いくつかの選択肢の中から主治医とご相談の上、治療法を選ばれることをお勧めします。
*パラプラチン=一般名カルボプラチン *シスプラチン=商品名ブリプラチン/ランダ *タキソール=一般名パクリタキセル *タキソテール=一般名ドセタキセル *イリノテカン=商品名カンプト/トポテシン *ジェムザール=一般名ゲムシタビン *ドキシル=一般名ドキソルビシン