卵黄嚢腫瘍、治療後の影響は?

回答者:上坊 敏子
社会保険相模野病院 婦人科腫瘍センター長
発行:2013年3月
更新:2013年12月

  

17歳になる娘についての相談です。先日、卵巣の腫れから手術を行い、右の卵巣と卵管を摘出しました。その結果、卵黄嚢腫瘍と診断されました。悪性腫瘍であると聞いて、とても驚きました。抗がん薬がよく効くがんであるということで、抗がん薬治療を行うことになりましたが、副作用や今後の体への影響、また妊娠や出産への影響が心配です。また、再発の可能性についても教えてください。

(佐賀県 女性 45歳)

A 妊娠・出産に影響なし。早期なら90%完治

卵黄嚢腫瘍は、若い方に多い悪性腫瘍です。抗がん薬がとてもよく効くことが知られていて、手術後に抗がん薬治療を行うのが治療の基本的です。

抗がん薬がとてもよく効くので、一般の卵巣がんと違い、子宮や両側の卵巣まで摘出する必要はありません。かなり進行している場合であっても、たとえば最初にできた腫瘍(原発巣)が右の卵巣にあれば、右の卵巣・卵管のみを摘出し、子宮や反対側の卵巣と卵管は残しておくことができます。ですから、卵黄嚢腫瘍の治療後に妊娠・出産することは十分可能です。

手術の後の抗がん薬治療は、できるだけ早く始めます。決められた期間と量をきちんと守って抗がん薬治療を行えば、卵黄嚢腫瘍はよく治ります。

卵黄嚢腫瘍は、一般の卵巣がんとは違う抗がん薬を使います。ブレオ・エトポシド・シスプラチンという3つの抗がん薬を併用して行うBEP療法が一般に行われます。投与回数は3~4コースが通常ですが、進行の度合いによって変わってきます。

BEP療法の副作用は、白血球減少や好中球減少などの骨髄抑制や貧血のほか、悪心・嘔吐、口内炎そして脱毛があります。女性なので脱毛を気にされるかと思いますが、これは治療を終えればまたもとのように生えてきます。

抗がん薬は使っている期間だけ体に影響しているので、治療を終えた後の妊娠や出産に影響はありませんし、奇形児が生まれる心配もありません。ただ、エトポシドという抗がん薬には発がん性があることがわかっており、大量に使うと白血病を引き起こす場合があります。ですが、4コースくらいまでの使用量なら心配はありません。

卵黄嚢腫瘍にはAFP(アルファ-フェトプロテイン)という腫瘍マーカーがあります。AFPの推移をみながら、抗がん薬治療や治療後の経過観察を行っていきます。

再発はゼロではありませんが、BEP療法の登場によって非常に少なくなりました。一昔前には亡くなる方が非常に多い悲惨な腫瘍でしたが、今では適切な治療を受ければ90%の方が完治しています。がんばって治療を受け、治癒を目指しましょう。

ブレオ=一般名ブレオマイシン エトポシド=商品名ベプシド/ラステッド シスプラチン=商品名ブリプラチン/ランダ

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