卵巣がんの腹水。取り除く方法はないか?

回答者:上坊 敏子
社会保険相模野病院 婦人科腫瘍センター長
発行:2012年8月
更新:2013年12月

  

私の母の件で、ご相談があります。母は腹痛と腹部膨満感がひどく、病院に行ったところ、卵巣がんのために腹水が溜まっていると診断されました。手術を受けましたが、卵巣の漿液性腺がんで、病期は3C期と診断されました。すでに広範囲に腹膜転移していて、手術は試験開腹に終わりました。これから化学療法が予定されています。母は腹水が溜まってしんどいと漏らしています。化学療法の前に腹水を取り除くよい方法はないでしょうか?

(富山県 女性 32歳)

A 早急に化学療法を

ご相談者のお母さんの場合、早急に化学療法を行うことが、1番だと思います。腹水を抜けば一時的に楽にはなりますが、すぐにまた溜まってきてしまいます。化学療法が効けば、腹水が溜まるのがおさまります。

とくに漿液性腺がんは化学療法がよく効きますから、効果を期待してください。なお、利尿剤で腹水が抑えられることもありますので、主治医に聞いてみるのもいいかもしれません。

腹水のなかには、たんぱく質などの栄養分が含まれておりますので、腹水を抜くと大切な栄養分を捨ててしまうことになり、低たんぱくの状態になります。低たんぱくの状態になると、ますます腹水が溜まりやすくなるという悪循環に陥ってしまいます。

再発患者さんの場合は、苦痛を取り除くために腹水穿刺を繰り返さざるを得ないこともありますし、抜いた腹水をろ過して、体内に戻すこともあります。しかし、この方の場合は、化学療法の開始が1番だと考えます。

化学療法は、タキソールとパラプラチンの併用療法が標準療法です。

タキソール=一般名パクリタキセル パラプラチン=一般名カルボプラチン

同じカテゴリーの最新記事

  • 会員ログイン
  • 新規会員登録

全記事サーチ   

キーワード
記事カテゴリー
  

注目の記事一覧

がんサポート4月 掲載記事更新!