片側の卵巣に腫瘍。卵巣と子宮を残せるか?

回答者:上坊 敏子
社会保険相模野病院 婦人科腫瘍センター長
発行:2012年10月
更新:2013年12月

  

片側の卵巣に腫瘍が見つかり、手術を受けることになりました。がんの可能性が高いといわれています。手術によって、卵巣がんだと判断された場合には、両側の卵巣と卵管、子宮、および大網を摘出することになるそうです。未婚ですが、子どもをもちたいと思っているので、将来のことを考えると、できれば腫瘍のないほうの卵巣と子宮を残したいと思っています。実際、そのようなことは、可能なのでしょうか。

(大分県 女性 35歳)

A 検査結果次第では残せる可能性も

卵巣がんの手術の基本は、両側の卵巣と卵管、子宮の摘出です。当然、術後に妊娠することは不可能です。しかし、将来妊娠の希望がある患者さんの場合、卵巣がんであっても子宮と片方の卵巣を残したいというお気持ちは当然だと思います。

ガイドラインによれば、子宮と片方の卵巣を温存できるのは、1a期で高分化型の腺がんであるとされています。1a期でも明細胞腺がんや中分化型の腺がんの場合、低分化型や明細胞腺がんを除く1c期のがんについては、一定の見解が得られていません。

手術中の迅速診断で病理所見を確認し、対側の卵巣が正常所見で、腹水または腹腔内洗浄液の細胞診検査が陰性であれば、がんが片側の卵巣だけに限局している1a期の可能性が高いと判断されます。

高分化型の腺がんの1a期と判断して温存手術を行った場合も、リンパ節郭清や大網切除術を行い、転移の有無を確認します。術後の病理検査でリンパ節や大網に転移が見つかれば、再手術を行い、温存した子宮と卵巣の摘出が必要になることもあります。

なお、若い女性に多い悪性胚細胞腫瘍の場合は、2期、3期に進行していても、温存手術が可能です。

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