父を膵臓がんで亡くした。早期発見できる方法はないのか
父が、膵臓がんを発見されてから、わずか2カ月で亡くなりました。55歳でした。発見された時点で「ほとんど手遅れ」と医師に言われましたが、残念でなりません。膵臓がんを早期に発見できる方法はないのでしょうか。
(群馬県 男性 26歳)
A 膵臓がんに特徴的な症状はないが、早期発見の方法も研究中
診断技術が進歩し、MD-CT(マルチスライスコンピューター断層撮影装置)や超音波内視鏡を用いれば、2センチに満たない小さな膵臓がんも指摘できるようになりました(2センチを超えないとわからない腫瘍もあります)。腫瘍が2センチ以下でリンパ節転移がない場合、切除することで50パーセント以上の方に完治を期待することができます。
しかし、この段階で患者さんのほとんどは自覚症状がないため、医療機関を受診せずに病状が進行してしまうことが多いのが現状です。また、腹痛や腰痛などが出現して医療機関を受診した後も、膵臓がんは特徴的な症状がないため、胃潰瘍や腰痛症などが疑われ、発見までにさらに時間がかかってしまうこともよくあります。
検診などを訪れる自覚症状のない方を対象に、早期膵臓がんを発見することができればよいのですが、現段階では、体への負担が少なく、感度が高い有効なスクリーニング方法は見つかっていません。また、膵臓がんは一般に進行が早く、完治かつ診断が可能な段階から完治不能な段階に至るまでの期間が他のがんよりも短い点も、早期発見が難しい理由の1つです。
膵臓がんの早期発見を行うために、がん細胞の特性を生かした能能画像診断法の開発や、膵臓がんの患者さんの血液に特異的に出現するタンパク質を調べる研究などが活発に研究されています。
今後、有効な検査方法が開発されることを私たち医師も期待しています。