ロボット手術に期待したい

回答者・古賀文隆
都立駒込病院泌尿器科医長
(2013年9月)

昨年末に、PSA値が5.2となり、病院で生検を勧められ、6本中2本にがんが見つかりました。転移は認められず、T1c期でグリソンスコアは7でした。私はロボット手術が良いのではないかと考え、通院が可能な別の病院を紹介してもらいましたが、待ち期間が3カ月ほどあることを告げられました。ロボット手術に期待していいでしょうか?手術までの期間の治療方法は。

(千葉県 男性 65歳)

A 体に負担少ない手術法はほかにも

2012年4月に前立腺がんの全摘手術において、「ロボット支援手術」が保険適用になりました。

3D内視鏡の拡大視野できれいな映像を見ながら手術ができ、多関節鉗子という操置で人間にはできないような動きで縫合操作ができることが特徴です。

欧米では十数年前から行われています。米国では9割がこの方法で手術されており、日本には120台ほどが導入されています。広く使われるようになり、利点と限界がわかってきました。

まず、制がん効果は、開腹手術と同等とされています。利点としては、開腹手術よりも出血が少ない、入院期間が短い、尿失禁からの回復が早い、勃起機能温存手術で勃起機能の回復が早い――といったことです。

一方で、ロボットを使わない腹腔鏡下手術やミニマム創内視鏡下手術(ガスレス・シングルポート手術)という患者さんに負担の少ない手術法もあり、それらと比較した場合に患者さんからみてどちらが優れているかということに関しては明確な答えが出ていません。

費用で見ると、保険がきいて患者さんの負担は少ないのですが、総額ではロボット支援手術では約95万円かかります。開腹手術は41万円、腹腔鏡下手術は77万円、ミニマム創内視鏡下手術は60万円ほどとなっており、医療経済的な見地も必要と思います。

当院では、ミニマム創内視鏡下手術を行っていますが、輸血を必要とするような出血や尿失禁が問題となることはほとんどありません。ほとんどの患者さんが手術から5日以内に退院できる状態となります。患者さんにとっての費用対効果を考えると、優れた手術法のひとつと考えています。

手術までの3カ月の待機期間につきましては、相談者のような中リスクの前立腺がんにおいては問題がないと思われます。手術待機期間の治療も必要ありません。