前立腺のホルモン療法で薬が効かなくなったら?

回答者:赤倉 功一郎
東京厚生年金病院 泌尿器科部長
発行:2012年4月
更新:2014年2月

  

前立腺がんの間欠的ホルモン療法を受けています。今後、薬が効かなくなった場合、どのような治療がありますか。

(埼玉県 男性 62歳)

A ホルモン剤のいったん中止や、違うホルモン剤で対応

男性ホルモンを抑えるホルモン療法を行っていると、数年のうちに効果がなくなることがあります。これは、去勢抵抗性がんとよばれています。

その原因のひとつに、男性ホルモンの受容体の突然変異があります。受容体が突然変異を起こすと、本来なら男性ホルモンの作用をブロックする働きをする抗男性ホルモン剤によって、逆に男性ホルモンの受容体が刺激され、がん細胞を増殖させてしまうことがあります。したがって、初めのうちは効果をあげていた抗男性ホルモン剤が、いつのまにか男性ホルモンと同じようにがんを増殖させることがあると考えられています。具体的には、PSA値が上昇したり、転移巣が大きくなったりという症状が出るのです。

したがって、病状が悪化したら、まずはそれまで行っていた抗男性ホルモン剤を中止します。それによって、悪い作用がなくなり、PSA値や症状の改善が期待できます。このような現象を抗男性ホルモン除去症候群と呼んでいます。抗男性ホルモン剤の中止だけでは病状がよくならない場合には、抗男性ホルモン剤の種類を変えるという方法をとります。これを抗男性ホルモン交替療法といいます。

現在の標準治療でいうと、抗男性ホルモン剤の第1選択薬は、カソデックス。これに薬剤耐性ができた場合は、次にオダインを用います。さらにこれも効かなくなった場合は、抗がん剤のタキソテールに、副腎皮質ステロイド剤のプレドニンまたは、デカドロンを併用する治療を行います。

また、骨転移がある場合は、ゾメタによる治療も行います。この薬剤は骨を強くする効果があり、他の病気の骨の治療にも広く用いられています。具体的には、がんの骨転移によって骨折しやすくなっている状況を改善します。また、長年のホルモン療法によって、骨粗鬆症になったり骨がもろくなることがあり、それにも効果を発揮します。

骨粗鬆症や骨折予防になるこの種類の薬については、この春に、さらに強い効果をもつランマークという薬剤が発売される予定です。この薬剤は、多発性骨髄腫による骨病変とがんの骨転移による骨病変に対して、1月に国内で承認された薬剤です。

また、ホルモン療法の新規薬剤や、抗がん剤の薬剤の新薬についても現在、治験が行われているものがあります。

カソデックス=一般名ビカルタミド オダイン=一般名フルタミド タキソテール=一般名ドセタキセル プレドニン=一般名プレドニゾロン デカドロン=一般名デキサメタゾン ゾメタ=一般名ゾレドロン酸 ランマーク=一般名デノスマブ

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