有棘細胞がんの疑い。顔の皮膚の一部を切除する検査は必要か?

回答者:並川 健二郎
国立がん研究センター中央病院 皮膚腫瘍科医師
(2010年3月)

75歳の父のことでご相談です。ゴルフや、魚釣り、ウオーキングなどが趣味で、スポーツ好きでした。数年前から、顔の一部に赤味を帯びたところが目立つようになりました。近所の皮膚科クリニックで診ていただいたところ「有棘細胞がんかもしれない」と言われました。顔の皮膚の一部を切除して顕微鏡で調べる検査が必要とのことです。この検査は、必ず受けなければいけないのでしょうか。有棘細胞がんと診断されたときの適切な治療についても教えてください。

(宮崎県 女性 46歳)

A 有棘細胞がんの判断に皮膚生検は必要

日光の紫外線をたくさん浴びてきた方にできやすい皮膚病に、顔の一部が赤味を帯びてくる日光角化症があります。日光角化症とは、がん細胞が表皮の中にとどまっている表皮内がんのことです。有棘細胞がんと言われたのであれば、日光角化症よりもがん細胞が深く進んだ皮膚がんの一種と判断されたことになります。しかし、この文面からは、有棘細胞がんかどうか、まだはっきりしていないように思います。日光角化症か、それよりも一歩進んだ有棘細胞がんかの判断には、皮膚生検が必要です。皮膚生検は、ぜひ受けることをおすすめします。

有棘細胞がんであれば、治療法は手術が第一で、何らかの理由で手術ができないときには放射線治療を行います。

リンパ節を調べるかどうかの基準はきちんと決まっているわけではありませんが、一般に原発巣が大きく深いものではセンチネルリンパ節生検を考慮することがあります。なお、日光角化症の場合には、手術のほかに、液体窒素による凍結療法という治療法もあります。