HER2陽性進行胃がんの治療について

回答者・山口俊晴
がん研有明病院副院長・消化器センター部長
発行:2014年2月
更新:2019年7月

  

父(77歳)についての質問です。すでに肝臓に転移もしている胃がんで、手術はできないと言われました。しかし、内視鏡検査の結果、HER2陽性のためハーセプチンの化学療法を勧められました。ただ、父の体力や副作用も心配です。どうしたらよいのでしょうか?

(45歳 男性 東京都)

副作用対策とQOLを保つ治療を

がん研有明病院副院長・消化器センター部長の山口俊晴さん

肝臓や肺、骨髄などに転移した胃がんの治療は、原則として手術は行わず、化学療法となります。このような切除不能進行・再発胃がん患者さんの場合、化学療法を行う前にHER2検査を行い、HER2陽性であれば分子標的薬のハーセプチンを上乗せした化学療法が標準治療とされています。

ハーセプチンを上乗せすることで、全生存期間(OS)中央値(MST)が11・1カ月から13・8カ月に2・7カ月延長したという治療効果が、臨床試験(ToGA試験)で示されています。

胃がん患者さんの中で、HER2陽性患者さんの割合は2割ほどですが、胃がん領域で唯一、有効性が示されている個別化治療となります。

レジメンは、ゼローダ(または5-FU)+シスプラチン+ハーセプチンとなります。投与スケジュールは、3週間を1コースとして6コース行います。

副作用には、ゼローダによる白血球・赤血球・血小板減少といった血液毒性が挙げられます。また、シスプラチンによる腎毒性、悪心・嘔吐、ハーセプチンは間質性肺炎や骨髄抑制などの注意が必要です。

仮に、ハーセプチンが有効でなかったときには、2次治療としてカンプト/トポテシン、タキソテール、3次療法には2次療法で使われなかった薬剤などを使うことになります。

切除不能進行・再発胃がん患者さんの治療目的は、副作用をしっかりとコントロールしながらQOL(生活の質)をいかに保つかが重要となります。

したがって、患者さんやご家族はそれぞれの治療法の意義と副作用の十分な説明を受け、患者さんの体力・病状・副作用などを考慮して(治療を行わないことも含めて)選択することが必要です。

なお、切除不能進行・再発胃がんの標準治療であるTS-1+シスプラチン(SP療法)にハーセプチンを上乗せした際の有効性・有害事象などに関しては、現在も研究(検討)が行われています。

HER2=上皮成長因子受容体 ハーセプチン=一般名トラスツズマブ 全生存期間中央値(Median Survival Time)=全患者さんが生存した期間の真ん中の値 ゼローダ=一般名カペシタビン  5-FU=一般名フルオロウラシル カンプト/トポテシン=一般名イリノテカン

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