腹腔鏡下手術は可能?胃がんの遺伝性は
検診で胃がんが見つかりました。がんの大きさは約2㎝。「リンパ節転移はなさそうだが、粘膜下層に達しているので、開腹手術をしたほうがよい」と主治医に言われました。なるべく負担のない手術をしたいと思い、インターネットで調べたところ、腹腔鏡下手術であれば傷が小さいと書いてありました。私の場合、この術式は適応にならないのでしょうか。また、私の母も40代で胃がんの手術を受けています。乳がんなどで遺伝性のがんが話題になりましたが、胃がんもあるのでしょうか。
(43歳 女性 愛知県)
A ステージⅠであれば腹腔鏡下手術が可能
大きさが2㎝で、リンパ節転移がなさそうで、深達度(がんの深さ)が粘膜下層までであれば、ステージⅠbということになります。いわゆる早期胃がんの範疇に入るもので、きちんとした治療を行えばほぼ完治するものです。標準的な治療としては、開腹して胃切除術を行いますが、最近は切開創の小さい腹腔鏡下手術が早期胃がんを中心に広く普及しています。
この術式の安全性は確認されており、最近(2014年)改訂された胃癌治療ガイドラインの第4版では、ステージⅠの標準治療の選択肢の1つとして位置づけられています。したがって、あなたの場合は腹腔鏡下手術が可能です。ただし施設によっては、外科医が腹腔鏡下手術に熟練していないことがありますので、その場合には開腹手術を受けることになります。
胃がんでは、大腸がんや乳がんほど遺伝性と考えられる例は多くありません。ただし、一般的に近親者に胃がん患者が多かったり、40歳未満の若いときにがんに罹患している近親者が多い場合には、注意が必要です。胃がんはピロリ菌感染の有無がその発生と大きく関わっており、しかもそれは母から子へと経口感染すると言われています。家族内に胃がんが多いからといって、直ちにそれが遺伝によるものとは言えず、むしろピロリ菌が関与している可能性が高いと言えるでしょう。いずれにしろ、あなたの場合は今後もきちんと検診を受ける必要があります。