高齢の母。副作用が少なく、効果が期待できる抗がん薬は

回答者・山口俊晴
がん研有明病院副院長/消化器センター長
発行:2015年1月
更新:2019年7月

  

75歳になる母のことで相談します。主治医から「進行した胃がんで腹膜播種があり、厳しい状態」と言われました。TS-1とシスプラチンの併用療法を勧められましたが、シスプラチンは副作用が強く出ることがあると聞き、母の年齢や体力を考えると心配です。ほかに効果が期待できる抗がん薬はありますか。母は治療に積極的ではありません。抗がん薬治療は行わないことを選択すると、余命はどのくらいなのでしょうか。

(45歳 男性 神奈川県)

HER2タンパクが陽性か確認したほうがよい

がん研有明病院副院長/消化器センター長の山口俊晴さん

お母様の場合、基本的にはTS-1とシスプラチンの併用が第1選択となります。さらに、がん細胞のHER2タンパクが陽性であれば、ハーセプチンという薬を併用したほうが効果の高いことがわかっていますので、その点を確認されるとよいでしょう。シスプラチンはとくに腎機能障害が出やすく、尿の量を計測しながら投与する必要があるので、原則入院治療となります。また投与前に、クレアチニンなどの腎機能の検査をしておく必要があります。一般的に、年齢とともに腎機能は低下してきますので、高齢者は注意が必要です。

抗がん薬治療を行わない場合、腹膜播種(小さながん細胞の塊が無数に腹膜に存在している状態)の状況にもよりますが、およそ3カ月から1年の予後となります。

TS-1=一般名テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム シスプラチン=商品名ブリプラチン/ランダ
ハーセプチン=一般名トラスツズマブ

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