エルプラットによるしびれがつらい。抗がん薬の変更は?

回答者・山口俊晴
がん研有明病院長
(2016年5月)

胃がんが判明し、すでに肝臓への転移も判明。TS-1とエルプラットによる治療をしています。服用からしばらくたってから、手にしびれが現れ、パソコンの操作がしづらくなりました。主治医から「今以上に症状がひどくなったら、エルプラットは休薬し、回復してから再開してはどうか」と言われたのですが、できれば抗がん薬を替えたいと考えています。途中で抗がん薬を替えることは可能ですか。分子標的薬のサイラムザが昨年(2015年)から使えるようになったと聞いたのですが、私の場合は使用できますか。HER2は陰性です。

(65歳 男性 神奈川県)

減量、休薬で改善しなければ、TS-1単剤による治療を

がん研有明病院長の山口俊晴さん

末梢の神経障害は、食欲不振、好中球減少などとともに、エルプラットを投与されている患者では最も多くみられる副作用の1つです。投与直後に起きる神経障害と、投与期間が長くなるとともに起きる神経障害があります。ご相談者はしばらく投与してから起こってきているので後者の副作用でしょう。

このような副作用を止めるために、ビタミン薬や漢方薬など様々な治療が試みられていますが、今のところ奏効するものはありません。副作用がひどい場合には、エルプラットの減量、休薬、中止しか選択肢はないと言えるでしょう。

減量、休薬で改善しない場合は、TS-1単剤による治療が勧められます。TS-1単剤が奏効しない場合に、抗がん薬を変更することを考慮するべきです。そのような際には、タキソールとサイラムザの併用療法、あるいはサイラムザ単独治療などが試みられます。

TS-1=一般名テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム エルプラット=一般名オキサリプラチン サイラムザ=一般名ラムシルマブ タキソール=一般名パクリタキセル