術後にTS-1を服用。副作用を抑える方法は?
胃の入り口の噴門部に近いところに、4センチほどのがんが見つかりました。手術を受けるように勧められ、胃を全摘切除しました。周辺リンパ節と胆嚢も併せて切除しました。ステージ(病期)は3Aとのことで、術後に再発予防のための補助化学療法として、TS-1(一般名テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム)という薬を使い始めました。しかし、薬の副作用のためか、食欲がなくなり、下痢を繰り返すようになりました。この副作用を抑えることはできないでしょうか。
(福島県 男性 61歳)
A 服用スケジュールを変えたり、服用量を減らしたりして対処
TS-1による補助化学療法は、3A期のような進行した胃がんには、大変よい治療だと思います。この治療は現在、標準的に行われています。
ただ、副作用もあります。食欲がなくなったり、下痢を起こしたりします。皮膚が黒っぽくなる色素沈着も多いです。発疹も出たりします。このほか、目に症状が出ることもあります。これらの自覚的な副作用のほかに、白血球の減少や貧血を起こす血液毒性もあります。そのため、定期的な血液検査が大切です。
TS-1の補助化学療法の治療期間は1年間。服用スケジュールは薬を4週間飲んだら、2週間休みます。これが標準的な使い方です。服用する量は、80ミリ、100ミリ、120ミリの3つにわかれており、患者さんの体重と身長から体表面積を算出して決めます。体表面積の大きい人ほど多くの量を、体表面積の小さい人ほど少ない量を服用することになります。
もちろん、白血球の減少や貧血といった血液の毒性が出てきた場合、服用を一時休んだり、服用量を減らしたりします。
また、血液の毒性でなくとも、あまりにも食欲がなくなると服用を続けられません。下痢もひどくなると投薬を続けられません。色素沈着もあまり真っ黒になると嫌だという人もいます。こうしたときも、服用スケジュールを変えたり、服用量を減らしたりすることがあります。
たとえば、2週間とか4週間、服用を休んで、症状がよくなってから服用を再開します。そのとき、同じ量を服用すると、同じようなことが起きるかもしれません。そこで、一般的には薬の量を1段階減らします。つまり、120ミリだったら100ミリとかに変えます。ただ、人によっては、薬を4週間飲んで2週間休むのではなく、2週間飲んで2週間休むという服用スケジュールが合うこともあります。
いずれにしても、薬はできる限り続けることが基本。1年間は飲み続ける必要があります。症状があまりにもひどいようでしたら、処方を工夫してもらいましょう。
下痢には下痢止めを使います。発疹は塗り薬で改善します。そうした対処をしながら、何とかがんばってほしいと思います。