3.5センチの胃がん。83歳で手術は可能か

回答者:山口 俊晴
がん研有明病院 副院長・消化器外科部長
発行:2010年3月
更新:2019年7月

  

同居している祖母(83歳)のことでご相談します。祖母に胃がんが発見されました。がんの大きさは3.5センチで、がんは粘膜下層に少し入り込んでいます。本人は食欲もあり、けっこう元気で、「手術なら受けるよ」などと言っています。しかし、私をはじめ家族は、年齢のことなどを考え、薬など、もっと穏やかな治療法を希望しています。どのような治療法が望ましいでしょうか。

(富山県 男性 32歳)

A 元気で明確な意志があるなら、手術を勧める

がんの大きさが3.5センチで、がんが粘膜下層に少し入っている場合、通常の方であれば、病巣を手術で切除するのが標準的な治療法だと思います。抗がん剤による治療は継続的な投与が必要で、その負担は必ずしも軽くはありません。

また、一般的に完全な治癒を期待することは困難です。

問題になるのは、この方のような高齢者や、重篤な合併症を持った患者さんの場合です。年齢だけで治療を制限するのは必ずしも正しくありません。80歳でも健康状態の良好な方もいらっしゃれば、反対に60歳でも健康状態のよくない方もいらっしゃいます。幸いお元気な様子で、ご本人も治したいという強い意志があるようなので、手術をおすすめします。もし適当な施設があれば、腹腔鏡下手術を受けるという選択もあります。

内視鏡治療も試みる価値はありますが、がんのサイズが大きいので時間がかかる上、負担はそれなりに大きくなります。また「がんは粘膜下層に少し入り込んでいる」とお書きですが、実際には、粘膜下層に広範に広がっていることもあります。その場合には、内視鏡治療では技術的に難しく、穿孔(胃壁に穴があくこと)を起こす可能性も高くなります。

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