1Aの胃がん。内視鏡治療ではダメか
ステージ1Aの胃がんと診断されました。ただ、がんは胃の粘膜下層まで達しているそうです。早期の胃がんなので、治療は内視鏡で病変を切除してもらえばすむと思っていましたが、開腹手術で胃を切除することを勧められています。内視鏡で治療することはできませんか。開腹手術を受けた場合、胃はどれぐらい切除するのでしょうか。
(富山県 男性 57歳)
A 粘膜下層に達している場合は、開腹手術を
内視鏡治療では、リンパ節の転移は取り除くことができません。したがって、内視鏡治療は早期の胃がんのなかでも、とくにリンパ節転移の可能性が低いものに対して行われます。
早期の胃がんはその深さから、粘膜までのがんと、それよりやや深い粘膜下層までのものがあります。調べてみると、粘膜下層までがんが達すると、10~15パーセント程度の確率でリンパ節転移があります。これは無視できない頻度ですから、早期胃がんで粘膜下層までがんが進んでいると思われる場合には、原則として手術が行われます。なお、粘膜までの胃がんであっても、顕微鏡で見た形が未分化(粘膜構造の少ないバラバラのがん)であったりサイズが大きかったりした場合には、転移の可能性があるので、治療は手術のほうが確実です。また、潰瘍の跡などがあると、技術的に内視鏡治療が難しい場合もあります。
開腹手術を受ける場合、どこまで胃を切除するかは、胃がんの場所と広がりなどによって決定します。胃の出口寄りであれば、胃の3分の2程度の切除ですむことが多いでしょう。胃の入口寄りにある場合には、胃の出口寄りを残す手術(噴門側胃切除)、あるいは胃全摘出術が行われます。噴門側胃切除は術後の愁訴が多いため、胃全摘出術より格段に良いというわけではありません。それぞれ長所と短所を担当医の先生によく聞いて決めてください。なお、入口寄りの進行胃がんでは、リンパ節をきちんと取る必要もあり、胃全摘出術を行うのが標準的です。