イリノテカン以降の治療法は?

回答者:山口 俊晴
がん研有明病院 副院長・消化器センター部長
発行:2012年9月
更新:2019年7月

  

昨年の12月に検査で病期が3b期の胃がんが見つかりました。術前化学療法として、シスプラチン+タキソテール+TS-1を3クール行った後、手術で胃・脾臓を全摘、膵臓を半分摘出、そして肝臓を2cm、腹膜(壁)を一部切除しました。また、リンパ節転移もあったため、リンパ節郭清も行いましたが、最近は、抗がん剤の効きが悪くなり、がんの増殖がみられるとのことです。今後、イリノテカンでの治療を考えていますが、この薬以降の治療法は無いと言われてしまいました。本当に、他の治療法はないのでしょうか? 無いのであれば、がんワクチンの治療も考えたいと思っています。もしがんワクチンを受ける場合は、どこの病院でどのようにかかれば良いのでしょうか?

(秋田県 女性 48歳)

A ワクチンより臨床試験を

ご相談者は、標準治療のシスプラチンとTS-1の組み合わせに、タキソテールも加え、効果が最も期待できる反面、つらい副作用が現れる治療を選ばれたのだと思います。

この治療法で効果が無くなると、白金系製剤やタキサン系製剤での効果が望めませんので、イリノテカン単剤の治療しかありません。

もし、HER2遺伝子が陽性の胃がんでしたら、イリノテカン以外の治療法として、ハーセプチンとゼローダの併用療法にも効果が期待できます。HER2遺伝子の確認をされてないようでしたら、1度、遺伝子検査をお受けになってみて下さい。

ハーセプチンは乳がんの治療などで使われる分子標的薬で、HER2と呼ばれる遺伝子が陽性のがんに有効です。胃がんではおよそ2割程度でHER2遺伝子が陽性です。

また、がんワクチンでの治療を望んでいるようですが、個人的にはお勧めできません。なぜならまだ、胃がんでは明確なエビデンス(科学的根拠)がある治療法ではないからです。

ワクチンでの治療を受ける前に、効果が期待できると予測された上で行われる臨床試験に参加してみてはいかがでしょうか? 臨床試験では、従来から行われている標準治療よりも高い治療成績が期待できる治療法を予測し、比較が行われます。

もちろん、途中で副作用など、継続が難しいとご自身が判断された場合は止めることもできますので、1度、主治医の方や病院で確認をしてみてはいかがでしょうか?

シスプラチン=商品名ブリプラチン/ランダ タキソテール=一般名ドセタキセル TS-1=一般名テガフール・ギメラシル・オテラシムカリウム イリノテカン=商品名カンプト/トポテシン ハーセプチン=一般名トラスツズマブ ゼローダ=一般名カペシタビン

同じカテゴリーの最新記事

  • 会員ログイン
  • 新規会員登録

全記事サーチ   

キーワード
記事カテゴリー
  

注目の記事一覧

がんサポート4月 掲載記事更新!