高齢者の化学療法は?

回答者:山口 俊晴
がん研有明病院 副院長・消化器センター部長
(2012年9月)

72歳になる父についてお聞きします。父は体調が悪い状態が続き、検査を受けたところ、すでにがんは肝臓に転移しており、4期の胃がんと診断されました。主治医には、手術は難しく、抗がん剤による治療を行うと言っています。具体的にどのような治療になるのでしょうか? 父の年齢などを考えると体力的にも乗り切れるか心配です。

(熊本県 女性 50歳)

A QOLを下げずに治療継続を

化学療法を行うに当たり、年齢などの差はあまりありません。ただし高齢者の大きな特性として、腎臓などの臓器の機能低下や骨髄機能の低下、脂肪組織の増加などの身体的な特徴があるため注意は必要です。

進行胃がんに対しての標準治療はTS-1とシスプラチンの併用療法となります。ただし、シスプラチンには重篤な腎障害が現れることがあるため、腎機能の低下した方に対しては、TS-1の単剤による治療が行われます。シスプラチンとの併用療法より治療成績は少し劣りますが、副作用は軽減できるためQOL(生活の質)を下げずに治療を行うことができます。

また、TS-1にも粘膜障害(口内炎や下痢)や皮膚障害、骨髄抑制(白血球減少、貧血など)が起きるため、それが厳しいようでしたら、減薬や休薬、場合によっては、TS-1と同じ系統で、副作用が少ないUFTなどに切り替えても良いと思います。

高齢者で化学療法を行う場合には、患者さんのQOLを低下させず、できるだけ治療を継続していくように心がけましょう。

TS-1=一般名テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム シスプラチン=商品名ブリプラチン/ランダ UFT=一般名テガフール・ウラシル