内視鏡手術を受けられるか?

回答者:山口 俊晴
がん研有明病院 副院長・消化器センター部長
(2012年9月)

検診で胃がんと診断されました。がんは胃の粘膜下層にまで達している可能性があるが、リンパ節転移はなさそうで、腫瘍の大きさは2cm以下だと主治医からは言われています。主治医からは、通常の開腹手術を勧められていますが、インターネットで調べると内視鏡による手術もあることを知りました。私は内視鏡手術の適応とならないのでしょうか? できれば、負担の少ない治療を受けたいです。

(山梨県 男性 42歳)

A 腹腔鏡手術は習熟した外科医に

胃がんのうち、がんが粘膜内あるいは粘膜下層までにとどまっている場合、早期胃がんといい、適切な治療さえ行えば95%以上が治癒します。

この早期胃がんの治療には、病巣を胃とともに切除する方法と、内視鏡(胃カメラ)で病巣をはぎ取る内視鏡治療があります。早期胃がんのうち粘膜内にとどまり、2cmより小さい、顕微鏡で分化型と分類された場合には、リンパ節に転移のある可能性が極めて低いので、内視鏡治療で病巣をはぎ取るだけで治ります。

ところが、がんが2cm以上になったり、深さが粘膜下層に達していたり、顕微鏡で未分化型と判断された場合にはリンパ節に転移のある可能性が高くなり、胃がんをはぎ取るだけでは確実に治すことができません。

このような場合には胃がんを胃とともに切除し、転移する可能性の高いリンパ節を除去するための手術が必要になります。 この手術は、通常は開腹といっておなかを切り開いて行いますが、最近は腹腔鏡という内視鏡で小さな穴から器具を挿入して、小さな傷で行う腹腔鏡下手術が開発されました。腹腔鏡下手術は高度の技術を要するため、経験のある外科医が行うべきです。

この方の場合、粘膜下層まで達している可能性があるので、2cm以下でも開腹手術が標準となります。施設に腹腔鏡下手術に習熟した外科医がいれば、腹腔鏡下手術も選択肢の1つになります。

なお、粘膜下層に達しているか、判断が難しい場合には、超音波内視鏡などの検査を追加して検討するのもよいでしょう。粘膜内にとどまる可能性が高ければ、試験的に内視鏡治療を受け、もし粘膜下層より深いことが分かった段階で手術を追加することも可能です。