甲状腺がんの手術後に補助療法は必要ないか

回答者:林 隆一
国立がん研究センター東病院 頭頸部外科・外来部長
(2010年5月)

2010年の1月に甲状腺がんと診断されました。低危険度の乳頭がんと言われ、甲状腺の左側半分を切除する手術を受けて、手術後の補助療法(ヨード治療などは行っていません。最近見たインターネットの情報で「低危険度の乳頭がんでも、手術後、10年、20年経ってから再発することもある」とあったのですが、どのくらいの割合で再発するのでしょうか。手術後の補助療法を受けたほうがよいでしょうか。

(長崎県 女性 42歳)

A 乳頭がんの予後はよい。補助療法は不要

乳頭がんは一般に悪性度が低く、予後のよいがんです。さらに45歳未満の場合は、通常、予後はよりよくなります。また甲状腺の切除のみで頸部の郭清術も受けられていないようですので甲状腺がんが生命に関わる可能性は5パーセント以下と思われます。

そのため、手術後にヨード治療の補助療法を行う必要はとくにありません。

ヨード治療を行うためには甲状腺を全摘出する必要があります。なお、甲状腺がんの術後の補助療法として、抗がん剤治療や放射線治療は通常行いません。

質問の文面にあるように、10年後、20年後にリンパ節に再発することもあります。そのため、半年に1回程度の定期検査は受け続けたほうがよいでしょう。しかし、万が一、再発したとしても手術を行えばよく、それが生命に関わる危険性はご相談者の場合、きわめて少ないといえます。

ヨード治療=ヨードは甲状腺ホルモンの材料で、人にとっては必須元素。
放射能を発生する性質のある放射性ヨードをカプセルに封入し、手術後に内服。手術で取りきれていなかった甲状腺がんがあった場合、その部分に放射性ヨードが取り込まれて放射線を発生し、がん細胞を攻撃する。